
佐々木健次公認会計士事務所/佐々木国際行政書士事務所/dep.FAS合同会社【公認会計士・行政書士】佐々木 健次
「何かをはじめるのに遅いことはない」定年後に行政書士にキャリアの幅を広げた会計士の探索の軌跡
フリー株式会社が主催する士業に関わるすべての人たちが集まる、年に一度の日本最大級イベント「freee Advisor Day 2025(略して、fAD2025)」の特別プロモーション連動企画として、ふらっとがコラボさせていただくことになりました。
本イベントのテーマは「探索」。ユーザーと“ともに未来の可能性を探索し続ける場”として開催されます。
士業の皆さんが日々、どのように課題と向き合い、業務や組織のアップデートを実現しているのか。
ふらっとでは、そのプロセスを“探索の軌跡”として掘り下げるインタビュー企画として、今回、佐々木健次公認会計士事務所 佐々木 健次 氏に取材しました!
呉服業から始まった、公認会計士としての挑戦
——まず、これまでのご経歴と、現在の活動についてお聞かせください。
佐々木:大学在学中、実家の家業で呉服関連の仕事を手伝っておりました。染料や薬品を卸したりなんてお仕事も手伝いながら、継ぎ手の兼ね合いもありそのまま家業に入っておりました。一方で卒業後の進路の為に就職活動もしていたのですが、継ぎ手の兼ね合いにおいて父の必死な説得なんかもあって!(笑) その内に、先に実家を出ていた兄も家業に戻ってきてた折に今後の自分の道の進め方を模索していました。「このあとはどうしよかな。」と疑問が湧いてきまして。ある日、いつもお付き合いのある税理士さんに相談した折に「会計士いいんじゃない?」と。それがすべての始まりでした。
——そこから会計士試験の合格まで、相当な努力をされたのでは?
佐々木:はい。家業と並行しての勉強は本当に大変でした。大阪の予備校に京都から電車に乗って一番に自習室に入っていました。後にも先にもあんなに勉強したのはこの時間位かもしれませんね。その後、家業を出て会計事務所でお世話になりながら、所長にもたくさんのご配慮も頂きながら最終的に29歳で合格できたときは、泥沼から這い上がったような感覚でした。監査法人では監査業務に加えて、上場支援やM&Aにも携わり、62歳まで走り続けました。
目の前の困ってる人の課題を解決し続ける。憧れから始まった定年後の「探索」
——定年後も、行政書士としても新たな道に進まれたのが印象的でした。何がきっかけだったのでしょうか?
佐々木:これまでのお仕事も会計も法律が大変に絡むお仕事で。実は、定年後は弁護士を目指そうかなーとになりたかったんです。当時一緒に働いていた周りの仲間は隠居して悠々暮らしてもいたし、私もそうしても良かった。でも、夢のためとはいえ、気持ちはあれど、カラダ的な衰えは実感もあり、無視できない位になっていました。加えて記憶力の衰えを痛感し「この年齢で司法試験は…」と。それでも2年くらいは勤しんではいたんですが、、、断念しまして。
——そこから、行政書士へ転換されたのですか?
佐々木:はい。ちょうど子どもが海外でビザの取得に苦労していたことを思い出し、在留資格について調べているうちに「行政書士って、自分でもなれるかも」と。公認会計士なら無試験で登録できると知って、驚きましたよ(笑)。
行政書士としての下積みと再出発を楽しむ
——行政書士として新たに開業された際はスムーズだったんでしょうか?
佐々木:それが、全然(笑)。会計士事務所は書類一枚で始められるのに、行政書士は看板設置や写真提出など、開業の要件が厳しかったんです。マンションだと看板が出せず、事務所探しに2ヶ月かかりました。設備要件もそうですし、法律を扱うお仕事だからかきちんとしてましてね。
それにね、行政書士は個人や中小企業に向き合うので、まったく違う「現場感」がありますし。例えば、外国人の在留資格申請では、膨大な書類に加え、偽装結婚を見抜くための詳細なヒアリングも求められます。ホンマ大変ですよ。慎重にね。でも、すごく感謝される。何度も話してると、やっぱ「この人、ホンマにここで仕事がんばりたいのやなー。」とか、わかる部分も多いし、数か月にわたってヒアリングするから、ずっとふるまい続けられる人もまあ難しい。一挙手一投足、伝わるし、わかりますね。本気さみたいなとこ含めてね。奥深いですよ。
——監査法人時代には大企業を相手にされていたのに、なぜ今、個人や中小企業と向き合おうと?
佐々木:監査法人のときはチームで、組織で関わる仕事でね。自分の担当とのやり取りはあれど、ルール通りになっているか、ここは最低限で、さらに企業の内部統制等の相談を受ける際に組織の思惑とか部署や個人の意向とかの折り合いでどうしたってお客様との距離がありました。行政書士としては、目の前の人に直接貢献できる。その実感がすごく大きいんです。
現在は「経営事項審査」(経審)という建設会社の公共入札に関わる手続きに挑戦中で、今はベテランの先生について、補助者として経験を積んでいます。69歳にしてまた“下積み”からの再出発。僕の指導してくれはる先輩なんかは30代、40代で。質問しても親身に教えて下さいますし。一つづつ覚えさせてもらっています。今日やったことが、今日誰かの役に立てる。それが新鮮でね。めちゃめちゃ新鮮で楽しいんですよ。
多様な連携で、専門家としての幅を広げる
——今後の展望や思いについて教えてください。まず、M&Aの会社や社外役員としての活動も続けていらっしゃいますね。
佐々木:M&Aの会社は同期の会計士仲間と立ち上げた会社で、今も協働していますね。社外役員としてもお願いされることもあります。普段は、その会社がやりたいことを尊重しながら関わりますが、「何かあったとき、自分の首をかけてでも言えるか」のスタンスを大切に、今後も取り組みたいと思っています。
——行政書士としては、どんな展望がありますか?
佐々木:今後は「特定技能1号」と「申請取次業務(ピンクカード)」「永住権」など、在留資格取得の作法もだんだんと分かってきましてね。外国籍人材に関する業務に注力したいですね。彼らが日本で安心して働ける社会づくりに貢献できると信じています。「経営事項審査」もぼちぼちね(笑) あわせてウェブサイトの開設も急いでいます!!
新しい発見と可能性を大事に
——では最後に、freee Advisor Dayへの期待と、読者に向けてのメッセージをお願いします。
佐々木:私は「何かやってみよう」という気持ちだけで、ここまで来ました。行政書士としての挑戦も、まだまだ新しいことだらけで、何かを始めるのに遅いということはありません。
士業の世界は変化の連続。目の前の仕事だけでなく、少し先の「探索」にも意識を向けてみてください。60代後半の私でさえ、新しい発見に満ちた毎日を過ごしています。
freee Advisor Dayは、そんな可能性と出会える場だと思います。日々の業務から少し離れ、他の士業の挑戦に触れ、自分の未来を見つめ直す――そんな一日にしていただけたら嬉しいです。
先生のご紹介
佐々木 健次 [SASAKI KENJI]
略歴:公認会計士。行政書士。監査法人で監査、上場支援、M&Aで活躍。定年後、大手企業からの社外取締役の依頼を受けながらも、法律で目の前の誰かのお困りごとを解決する道を探索した末に、行政書士資格を取得。外国籍人材の在留資格申請や、建設会社の公共入札手続きである経営事項審査に挑戦するなど、69歳にして新たな行政書士分野の“下積み”を楽しむ。会計士の枠を超え、常に「探索」し続けることで、士業の未来を切り拓く。
所在地:京都府京都市西京区桂南巽町79番地