リージョナル総合会計事務所 公認会計士/税理士 原田 聡

宮﨑会計・税理士事務所(宮﨑雅大税理士事務所)【税理士】宮﨑 雅大

事務所メンバーと「事務所にマッチしないことは、やらない」という選択肢を得た税理士の探索の軌跡

フリー株式会社が主催する士業に関わるすべての人たちが集まる、年に一度の日本最大級イベント「freee Advisor Day 2025(略して、fAD2025)」の特別プロモーション連動企画として、ふらっとがコラボさせていただくことになりました。

本イベントのテーマは「探索」。ユーザーと“ともに未来の可能性を探索し続ける場”として開催されます。

士業の皆さんが日々、どのように課題と向き合い、業務や組織のアップデートを実現しているのか。

ふらっとでは、そのプロセスを“探索の軌跡”として掘り下げるインタビュー企画として、今回、宮﨑会計・税理士事務所(宮﨑雅大税理士事務所)宮﨑 雅大 氏に取材しました!

「気づいたら目指していた」税理士の原点

——まずは、これまでのキャリアと現在の活動について教えてください。

宮崎:2016年に開業して9年目、現在は私を含め12名体制で、法人向けの税務顧問をメインに行っています。それに伴って「新たな設備投資や人材募集などがある」と相談を受けた際には、金融機関のご担当の方をおつなぎしたり、「損益の着地点や資金繰りを確認したい」と相談を受けた際にはbixidやManageboardなどを活用して、経営の支援・相談などを行っています。メンバー構成は20代から40代まで幅広く、平均年齢は30代後半。事務所の成長やルール整備などにも協力してくれるメンバーが多く、柔軟なチームだと思います。

—— 税理士を目指されたきっかけは、どのようなものでしたか?

宮崎:正直に言うと「目指した」というより、「気づいたら目指していた」という感じなんです。大学では経営学を学んでいて、数字に興味はありました。でも、本格的に簿記を勉強し始めたのは、社会人になってから体調を崩して退職したのがきっかけでした。

社会人になって3ヶ月で、人生2度目の肺炎にかかってしまって。お仕事のプレッシャーに負けてしまったんでしょうね。「仮に職場復帰しても継続することは、難しいのでは?」と感じて、当時の職場を退職して、簿記専門学校に通学しました。そのきっかけが無かったら、税理士を目指していなかったかもしれませんね…

—— その頃から独立を意識されていたのでしょうか?

宮崎:全くしていませんでした。実は、独立したきっかけも「体調を崩した」からです。当時勤めていた職場は「新しいことにトライする」というより「堅実にお仕事をしてほしい」という風土が強かった印象です。ですので「良い職場環境だけど、私には合わなかった」と感じています。当時の職場の方々には、迷惑をかけたと今でも反省しています。

そのようなことがありまして…体調を崩したことで「自分は勤め人には向いていないんだ」と強く思ったんです。目の前の仕事をこなすだけでは納得できなくて、「もっとこうした方が良くなる」と考えてしまう。その効率化が、組織ではむしろ「余計なこと」と捉えられる場面もあって…そういう性分もあって、独立は「仕方なく」の選択でした。

あえて「事務所にマッチしないことは、やらない」という選択が、組織の軸になる

—— 独立後、事務所について理想とのギャップはありましたか?

宮崎:最初は「毎年新しいメンバーを増やして事務所を大きくすることも選択肢かな?」と思っていましたが、実際に仲間と仕事を進める中で「人数を増やすこと」がゴールではないと気づかされました。私のアイデアに対して、メンバーが「それは違う」と言ってくれる場面もあり、最初は戸惑いつつも、今ではとても感謝しています。

—— メンバーの存在が、組織づくりの大きな影響を与えているのですね。

宮崎:はい。私は好奇心旺盛で、新しい情報に飛びつきがちなんですが、メンバーが「立ち止まる勇気」をくれるんです。事務所としても「事務所にマッチしないことは、やらない」を選ぶことを大事にしています。合わないお客様の受託や、リスクのある代行業務などは引き受けない。それは、私だけでなく、メンバー一人ひとりの意見を尊重した結果です。

 その一方で「事務所の成長につながることは、トライしてみよう」という風土や文化はあると考えます。その1つの例として「お勉強会チーム」という委員会が、あります。「お勉強会チーム」という委員会では、税法の勉強会を自発的に企画してくれています。私が指示したのではなく、メンバー発信の動きです。ほかにも、管理運営・情報発信・データ整備の委員会があります。

「拡大」よりも「土台づくり」に集中する

—— 今後、事務所としての展望をどのように描いていますか?

宮崎:しばらくは拡大よりも、今いるメンバーが成長できる環境づくりに注力したいです。そして、後輩を育てる土台を整える。そのうえで、税務会計の「基礎力」に立ち返ることが重要だと思っています。

 2016年の独立当初は、クラウド会計が盛り上がり始めたタイミングで「これは新しい波だ」と直感し、freeeなどを積極的に取り入れました。ただ、明確なビジョンはなく、「なんとなく」事務所の理想像を描いていた感じで。ただ、活用していて思うのは、最終的に価値を生むのは「人の知識と判断力」ということですね。

「軸」を持ちつつ、周囲の声に耳を傾けよう

—— 最後に、freee Advisor Dayへの期待と、読者へのメッセージをお願いします。

宮崎:freee Advisor Dayは、言うなれば「知的な同窓会」ですね。以前どこかのオンライン・オフラインで交流した方も初めてお話する方も freee Advisor Day ではお話する機会があると考えます。

そのような方々と対面でお話する中で、新しい視点やヒントを得られる。そういう「探索の余白」がある場です。

読者の皆さんにお伝えしたいのは「軸を持ちつつ、周囲の声に耳を傾けてみてほしい」ということです。私は、仲間の声に助けられて、「私たちにマッチしているのはこの方法では?」と気づくきっかけができました。今、何かに迷っている方も、きっとその先に、自分らしい答えがあると思います。私も「何が正解かな?」と迷ったり、「何がベターか?」「以前は正しい方法だったけど、今は環境やルールが変わっているので、もっと良い方法があるのでは?」と感じることもあると考えます。ですので、今もそうですし、これからもずっと「理想的な事務所や税理士を目指す」ことを探索し続けると考えています。

もし、同じような考えの方がいらっしゃったら、意見交換などを通じて、一緒に探索していただけると嬉しいです🎶

その際には、よろしくおねがいいたします☺

先生のご紹介

宮﨑 雅大 [MIYAZAKI MASAHIRO]
略歴:税理士。社会人経験を経て税理士資格を取得。2016年に独立し、クラウド会計を積極的に導入。当初は規模拡大を目指すも、メンバーとの協業の中で「事務所にマッチしないことは、やらない」選択の重要性に気づく。現在は法人税務顧問、資金調達支援、bixidやManageboardなどを活用した経営支援なども行い、本人も含めて12名の事務所のトップとして様々なことを模索中。メンバー主体の委員会活動を通じて組織の土台強化を図り、人の知識と判断力に価値を置く。お客様も事務所メンバー同士も安心を提供できる事務所を目指して現在、活動中。
所在地:神奈川県川崎市中原区木月大町10-23-101
HP:https://mstar-tax.jp/

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