
SUIJOU税理士事務所【税理士】岡戸 悠悟
探索し続ける税務のプロフェッショナル——「自立と利他」で拓く士業の未来
フリー株式会社が主催する士業に関わるすべての人たちが集まる、年に一度の日本最大級イベント「freee Advisor Day 2025(略して、fAD2025)」の特別プロモーション連動企画として、ふらっとがコラボさせていただくことになりました。
本イベントのテーマは「探索」。ユーザーと“ともに未来の可能性を探索し続ける場”として開催されます。
士業の皆さんが日々、どのように課題と向き合い、業務や組織のアップデートを実現しているのか。
ふらっとでは、そのプロセスを“探索の軌跡”として掘り下げるインタビュー企画として、今回、SUIJOU税理士事務所 岡戸 悠悟 氏に取材しました!
経理から税理士へ──異業種で育んだ「全体を見る力」
——まずは、これまでのご経歴を教えてください。
岡戸: 大学を卒業した後、朝日新聞社という事業会社で7年ほど過ごしました。経理・財務業務に加えて、管理会計や業務プロセスの改善をやっている時期が長かったと思います。
その中で税務の特殊性や奥深さに魅力を感じ、税理士を目指すようになりました。
たまたま職場の先輩が公認会計士の勉強をしていたことも刺激になりましたね。実務だけでなく、体系的な理解を持つことで、より柔軟な発想ができるようになると感じていました。
——働きながらの勉強は大変だったのでは?
岡戸: 最初から仕事と並行しての受験生活だったので、大変だとは思っていませんでした。
ただ、いま振り返ると「結果を出せば自由」という職場文化や、仲間の応援に助けられていたと思います。
また、学習時間を確保する必要にかられて、VBAやRPAを活用したり、より上流のワークフローの見直しをしたりと、自然と業務改善に積極的に取り組むようになりました。
この経験が、今のクラウド会計を活用した業務改善の原点になっています。
大手ファームから、自由度ある実践の場へ──独立への「探索」
——その後、どのように独立への道を進まれたのですか?
岡戸: 3科目に合格後、大学院に進みつつ、KPMG税理士法人に転職しました。
KPMGでは一般的な法人税・消費税の実務に加えて、組織再編、M&A支援、国際税務といったより専門性の高い分野に携わることができました。
知識や実務のベースが強化されたのはもちろんですが、何より「プロフェッショナルファームかくあるべき」という美学や働き方を肌で学べたのが何よりも財産です。
また、同世代や自分より若いメンバーで優秀な方がたくさんいたので、その中で自分を相対化して得意不得意を見極められたのも良い経験でしたね。
——KPMGは刺激的な環境だったでしょうね。でも、そこから独立を意識されたのは?
岡戸: 資格取得の目途が立ったころから、なんとなく独立を意識していました。実家が自営業ということも影響しているのだろうと思います。
より独立に近い環境で経験を積もうと考え、縁あってアンパサンド税理士法人に転職しました。
アンパサンドでは、上場企業やIPO準備企業から中小企業まで、また法人税務だけでなく資産税や事業承継など幅広い分野を、パートナーやクライアントと近い距離で経験させていただきました。
「3年間で独立します」と面接で伝えたにも関わらず受け入れてくださり、特に代表の山田先生には多くのフィードバックをいただきました。育てていただいたという感覚があり、大変感謝しています。
それで実際に3年経ち、実務の面では一定の手応えを感じられるようになったため、2025年1月に独立しました。
「価値提供」を軸に、クライアントの可能性を「探索」する
——独立してからの半年間、どんなことに力を入れてきましたか?
岡戸: 「自分ならではの価値は何か」を探索してきました。
その中で、クライアントからはコミュニケーションスタイルであったり、対話を深めるスタンスであったりといった、よりソフトな部分についてポジティブなフィードバックをいただくことが多いことに着目しました。
税務、経理、その他バックオフィスの知識経験はもちろん土台としてあるのですが、スムーズなやり取りを通じて、クライアントの現状や関心に適合したアドバイスができることが独自の価値になっていると思っています。
こうした分析から、特に業務フローの整理は私たちの強みが生きるサービスと位置づけて力を入れてきました。
クラウド会計の導入に合わせてバックオフィスの設計全体を整理し、目的に合うかたちに、可能な限り上流、根本から業務を変えていくサポートをしています。
——「業務を根本から変える」というのは印象的です。何が原動力なのでしょう?
岡戸: 労働人口が少なくなるなかで、人間がやるべき仕事にリソースを集中することは社会課題であり続けていると思います。
業務フロー全体をみてうまく整理を進めると、事務仕事の総量を減らすことができます。
現状維持を前提とした単純なアウトソースではなく、変化を伴う関わり方をすることで、クライアントにも社会にも貢献したいという思いがあります。
加えて、業務フロー整理というと一見スマートに聞こえますが、実務は既存業務についてクライアントに教えてもらいながら、一緒に改善の方向性を考えるという側面も大きいです。
クライアントとの関係性を育みながら、よりよい未来を作っていく手応えのようなものが得られるとやりがいを感じますね。
「自立と利他」が導く、士業の未来像
——岡戸先生の仕事観や価値観についても伺いたいです。
岡戸:事務所名である「SUIJOU」は「推譲」、つまり「自立と利他」という意味の言葉に由来しています。
まず自立したうえで、自分の力を社会に還元する。その利他が、また誰かの自立を促す——そんな循環を促す場になれたらと思っています。
私自身、関わってきた方々の善意や励まし、また直接関わってはいない方々が作ってきた歴史や仕組みに支えられて今に至っているという感覚があります。
私たちの仕事を通してクライアントに前向きな変化が生まれ、クライアントが事業を通じて社会をよりよくしていく、という構造を意識し、その実現を目指しています。
——その価値観を踏まえ、士業の未来はどうなると思いますか?また、事務所の方向性でお考えのことがあれば教えてください。
岡戸: 私たちの業界にとって、短期・中期ではやはり生成AIを含めたITとどう共存するかが大きな論点であると認識しています。
でも、ITはあくまでツールであり、一定の期間を経れば社会に行きわたって「当たり前」の存在になっていきます。
その先は、安心感や信頼を醸成するコミュニケーションや曖昧なことに問いを立て、一緒に解くといった姿勢、そういった「人間らしさ」こそ価値として残っていくはずです。
そんな未来を想像しながら、私たちの事務所は、洗練されたオペレーション、専門性とプロフェッショナリズム、豊富な実務経験を土台として持ちつつ、クライアントとはあくまでカジュアル・フラットに人間的な関係性を育むことで、機能的にも情緒的にも相談する価値のある事務所を目指していくつもりです。
クライアントの「閉塞感」を打ち破る瞬間の喜び
——最近、印象に残っているお客さまとのエピソードはありますか?
岡戸: あるお客さまから、freee導入による自計化のご相談をいただきました。
それまで会計業務をアウトソースしていて求められるデータを提出するだけだったので、必要な処理が何なのか、どのデータがどの処理に使われるか分からない、という状態からのスタートでした。
ヒアリングを重ね、ときには私自身がクライアントの業務システムにアクセスしたりとさまざまなかたちでサポートした結果、会計業務にかかる時間が導入・自計化前の1/3まで短縮できたんですよ。
また、そのプロセスのなかで、どんな処理がfreeeでどう実現されているかについて、お客さまご自身の理解度が高まり、結果として自社の会計数値について社内や金融機関に自分の言葉で説明できるようになったそうです。
そうした関わりのなかで、「漠然とした不安が解ける課題になった」「一人だと(自社だけだと)できなかった」などと言ってもらえたときは、手応えを得られて嬉しかったですね。
freee Advisor Dayに期待する「探索」の出会い
——最後に、税理士・会計士の読者へメッセージをお願いします。
岡戸: 私自身、ずっと「探索」をテーマにキャリアを歩んできました。何を大事にするか、自分はどんな価値を出せるのか、どんな関わり方が心地よいのか。正解があるわけではないですが、立ち止まらず探し続けることで、少しずつ輪郭が見えてきたと思っています。
今の時代、働き方や価値の出し方は多様です。クラウドやAIとどう共存するかだけでなく、人としての関わりや感性が問われる場面も増えています。だからこそ、自分らしいスタイルで、クライアントと向き合える道を探していいと思うんです。
freee Advisor Dayのような場は、その「探索」を加速させるきっかけになるかもしれません。偶然の出会いや、他の方の取り組みを知ることで、自分の可能性が広がる。そんな対話の機会になることを期待しています。
先生のご紹介
岡戸 悠悟 [OKADO YUGO]
略歴:1991年埼玉県生まれ。
早稲田大学商学部卒業後、株式会社朝日新聞社に入社。経理・財務部門にて管理会計やRPA導入等の業務改善に従事する。その後、税務に関心を持ち、KPMG税理士法人、アンパサンド税理士法人での勤務を経て独立。上場企業グループ、IPO準備企業から地元中小企業まで、幅広い規模・業種の法人税務顧問、スタートアップ企業向けの法人設立相談、クラウド会計導入支援、個人向けの相続税申告や生前対策支援など、多様な経験を有する。
所在地:東京都江東区三好1-8-3
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