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斎藤税理士事務所【freee導入支援責任者】志磨 奏映
クラウド会計への「確信」とfADで得た「勇気」が切り拓いた、税理士事務所の新たな地平
フリー株式会社が主催する士業に関わるすべての人たちが集まる、年に一度の日本最大級イベント「freee Advisor Day 2025(略して、fAD2025)」の特別プロモーション連動企画として、ふらっとがコラボさせていただくことになりました。
本イベントのテーマは「探索」。ユーザーと“ともに未来の可能性を探索し続ける場”として開催されます。
士業の皆さんが日々、どのように課題と向き合い、業務や組織のアップデートを実現しているのか。
ふらっとでは、そのプロセスを“探索の軌跡”として掘り下げるインタビュー企画として、今回、斎藤税理士事務所 志磨 奏映 氏に取材しました!
異業種からの経理・事務への転身、簿記の経験から税理士事務所に
——まず、これまでのキャリアについてお聞かせください。
志磨:大学卒業後、私が最初に就職したのはブライダル業界のベンチャー企業でした。いわゆるウェディングプランナーではなく、結婚式の写真や映像を制作する会社で、主にカメラマンさんとのやり取りや写真の加工、アルバム作成などを担当していました。約5年間、税理士事務所とは全く畑違いの場所で働いていました。
——ブライダル業界からキャリアチェンジされたきっかけは、何かあったのでしょうか?
志磨: 残業が多く、ライフスタイルを確立するのが難しかったからですね。仕事自体は好きだったんです。幸せに溢れる結婚式の写真を見ながら作業するのは楽しかったのですが、終電を逃したり、土日も早朝からカメラマンの出発確認をしたりと、体力的にかなり厳しい環境でした。
転職し、2社で経理・事務スタッフとして働きましたが、主に仕入れや発注管理、金額交渉といった業務で、1年も経てば、大体の仕事はこなせるようになり、2年目、3年目には飽きてしまいました。もちろん、業務改善には積極的に取り組み、効率化も徹底しましたが、それ以上新しいことが生まれる環境ではなかったんです。正社員登用も考えましたが、「これをしても変わらないだろうな」という思いが強く、再び転職を考え始めました。
その頃、簿記3級、2級の資格も取得していて、数字を扱うのが好きだと再認識したんです。それに、誰かの役に立ちたい、相談に乗れるような仕事に就きたいという思いもあって、30歳を過ぎた頃、税理士事務所への転職活動を始めました。
——簿記の経験が、税理士事務所に興味を持つきっかけになったのですね。
志磨: はい。簿記の勉強を通して、経理ではなく「税理士事務所」がいいなと。同じ数字を扱うにしても「経理では変わらない」と感じたんです。今の事務所の採用面接で「税務だけでなく、お客様の話を聞いて提案をしていく」と仕事の内容説明を受けたので、強く惹かれました。ルーチンワークだとすぐに飽きてしまう私の性格上「ワクワクする、やりがいのある仕事」と感じたのが大きかったですね。
freeeとの出会いと、事務所内の反発
——ワクワクする気持ちを胸に入った税理士事務所、実際の業務はどうでしたか?
志磨: 入社当初はfreeeの「フ」の字もなく、ひたすら昔ながらの会計ソフトで入力や決算書作成といった、いわゆる新人が通る道を進みました。しかし、入社後すぐに事務所全体の「効率化」の話が持ち上がり、上司と一緒にオンプレ型の会計ソフトのCSV取込や仕訳ルールの設定やスキャナー導入などを試しました。これが、現在のfreee導入支援業務に繋がる最初のきっかけだったと思います。
——志磨さんの「効率化・改善したい」という思いが、事務所にも影響を与えたのですね。
志磨: そうですね。上司の「まずはやってみよう」という後押しもあって、社内の業務効率化を徐々に進めていきました。その翌年頃にfreeeなどのクラウド会計サービスが注目され始め、代表から「クラウド会計ソフトを調べてみてくれ」という指示があったんです。そこで本格的にクラウド会計の勉強を始めました。
——代表からの指示を受けて、皆さんすぐにクラウド会計の導入に前向きになられたのでしょうか?
志磨: いえ、最初は反発も強かったですね。私は「やった方がいい」という確信があったので、正直なところ「やってくれよ!」と、少し上から目線になってしまっていた時期もありました(苦笑)。最初の1年間はなかなかうまくいかず、freeeの良さが分かっているのに導入が進まないことに焦りを感じていました。
——皆さんが反発する中でも「freee導入をやった方がいい」という確信は、どこから来たのでしょうか?
志磨: 会計入力業務をこなす中で、「記帳業務だけでは提供できる価値に限界がある」と感じていたんです。freeeが目指す「会計の見える化」や「リアルタイムでの経営状況の把握」というコンセプトに、お客様と未来の話をする上で大きな価値を感じました。「資料が遅れてきて過去のことしか話せない」「税金の話しかできない」といった現状を変えたいという思いがありましたし、freeeのAPI連携の利便性にも魅力を感じていました。「税金の計算だけ」を求めるお客様よりも、「一緒に成長していける、ポジティブなお客様ともっと出会いたい」という気持ちが強かったですね。
fADがもたらした「仲間」との出会いと、諦めない力
——そのような苦しい状況の中、初めてfreee Advisor Day(fAD)に参加された、と。
志磨: はい。実は、イベントに参加する前はもう半分諦めかけていたんです。「もう私一人でやればいいか」と。そんな時に当時の担当さんからfADの存在を聞いて、「行ってみようかな」と軽い気持ちで参加しました。会場が近かったというのもありますね。
——軽い気持ちで参加されたfADが、志磨さんに大きな変化をもたらしたわけですね。
志磨: はい。実際にfADに行ってみて、自分が「井の中の蛙」だったと痛感しました。今まで見えていなかった世界がそこには広がっていたんです。登壇されている先生方のお話を聞いて、「あ、こういう事務所になりたいんだ」「こういう仕事がしたいんだ」という自分のビジョンが具体的にイメージできるようになりました。
何より大きかったのは、懇親会での「仲間」との出会いです。最初は自分だけがfreeeの導入に苦労していると思っていたのですが、話してみると皆さん同じような壁を乗り越えてきていると知って。共感し、応援してくれる仲間がたくさんいたんです。事務所内では「また何かやってるよ」「仕事が増えるだけ」といった目で見られることもあったので、freeeについて本音で話せる人が周りにいなかったんです。でも、fADで「freeeが好きで、良さを広めたい」という仲間がたくさんいて、初めて、心置きなくfreeeの話ができて。
——それは素晴らしいですね。特に印象的な出会いはありますか?
志磨:特に印象的だったのは、マジカチリーダーズの田中先生との出会いですね。同世代の女性ということもあり、ものすごく話を聞いてくれて、たくさんのポジティブなアドバイスをいただきました。「そんなに焦らなくていいよ」「頑張りすぎないでね」と。田中先生との出会いは、fADに参加して本当に良かったと胸を張って言える、私にとって最も大きな出来事です。今でも定期的に連絡を取り、事務所見学にも行かせてもらうほど、大切な仲間です。
——孤軍奮闘していた志磨さんにとって、まさに「ともに未来の可能性を探索できる場」だったわけですね。
志磨: その通りです。日々の業務では、事務所内で否定的な意見があったり、余計なことをしていると思われたりすることもあり、正直苦しかったです。でもfADで、ものすごく励まされました。「もう少し頑張ってみよう」と心から思えましたね。
「勇気」と「確信」が事務所を動かし、新たな挑戦へ
——最初のfADで大きな勇気をもらい、翌年のfADには代表と一緒に参加されたそうですね
志磨: はい。最初のfADで得た勇気と確信を胸に、freeeのお客様も少しずつ増えてきていたので、事務所の代表である斎藤を誘いました。代表もfADで登壇者のメッセージを聞いたり、協賛企業のブースを見たりして、freeeが盛り上がっていく勢いを肌で感じたようです。「やっぱりfreeeはすごいじゃないか!どんどんやっていこう!」と。去年は「来年は皆で来ようね」と話して終わりましたが、今年は、全員で参加する予定です。
——事務所全体を巻き込むほどになったとは、驚きの展開です。もし最初からあっさりfreeeを導入できていたら、志磨さんは飽きてしまっていたかもしれませんね。
志磨: そうですね(笑)。苦労があったからこそ、ここまでfreeeに熱中できたのかもしれません。今も残業は多いですし、激務だと感じることもありますが、この5年間で「飽きた」とか「辞めたい」と思ったことは一度もありません。裁量を持って様々なことに挑戦させてもらえているので、「あれもしたい」「これもしたい」という願望が尽きないんです。fADやマジカチで、そうした思いを共有できる仲間や先輩ができたことが、モチベーション維持に繋がっています。
——マジカチも志磨さんの活動を支える大切なコミュニティになっているのですね。
志磨: はい。マジカチは情報交換の場でもありますが、私にとっては「こんなことできたらすごいよね」とか「freeeのここって嫌だよね、でもここはいいよね」といった本音を共有できる、いわば「愚痴を言える場」でもあります。
皆さん本当に良い人ばかりで、否定されることは一切なく、ものすごく褒めてくれるんです。外で自己肯定感を高めて、そのポジティブな気持ちを事務所に持ち帰り、広げていきたいと思っています。
「freeeをやっているから明るい」という風潮にしたいし、後輩たちが続きやすいように、「freeeって大変そう」と思われないようにしたいんです。私が道を耕して、後輩たちが安心してついてこられる足跡を残したい。それが今の私の挑戦です。
未来志向の組織作りと、オーダーメイドの財務コンサルティング・DX支援
——現在、事務所として後進の教育に力を入れている、ということでしょうか?
志磨: はい。後輩を育てていく教育に力を入れていますね。freee導入支援責任者の私自身がすべてを抱え込まず、後輩に任せていくことを含め、私が経験したような孤独感を後輩たちが感じないよう、事務所全体で組織作りをしています。
なお、私たちの事務所には、様々な分野のスペシャリストが揃っています。財務コンサルティングや資金調達、相続、法人税など、それぞれの得意分野を持ったスタッフがおり、グループ法人には社会保険労務士事務所もあるので、労務に関することも相談できます。
後輩も、お客様も、どんな悩みも、まずは「一旦、聞ける」体制があります。何でもかんでもやるというわけではありませんが、どんな相談も受け入れ、適切なアドバイスを提供できる懐の深さがあると思います。
——お客様向けのサービスとしては、どのようなことに力を入れているのでしょうか?
志磨: 一番力を入れようとしているのは「財務コンサルティング」です。freeeと別のサービスを掛け合わせ、お客様の財務支援を強化していきます。過去の税務や税金の話だけでなく、会社を大きくするためにどうすればいいか、どういう未来を描くのかといった、経営者さんと共に未来に向かって走っていく伴走型支援をしていきます。
もう一つは、freeeも活用した「DX支援」です。DXというと、すでにIT化が進んでいる企業向けのサービスだと思われがちですが、そうではなく、「少しだけ効率化したい」「何から始めていいか分からない」「全部freeeに変えるほどの体力はないけど少しずつ始めたい」という中小企業様向けのオーダーメイド型のDX支援を提供していきます。お客様のペースや状況に合わせて提案し、「全てをfreeeに変える必要はない」というスタンスで、お客様にとって一番やりやすい方法を一緒に模索していきます。
「かかりつけ医」のような存在へ
——最後に、この記事を読んでくださった方へのメッセージをお願いします。
志磨: 私がお客様によくお伝えするのは、「事業にとっての“かかりつけ医”だと思ってください」ということです。調子が悪い時に相談に行ったり、専門外のことでも「この病院をご紹介しますよ」と言ってくれる、そんな存在でありたい。
AIが何でも教えてくれる時代になり、AIが導き出す情報が本当に正しいのか、自社に合っているのかを判断するには専門家の目が必要です。税理士が寄り添う価値は非常に大きいと感じています。
お客様の理解度や資金繰り、ペースに合わせたオーダーメイドの提案を心がけています。無理強いはしませんので、まずは一度ご連絡を!一緒に最適な方法を探しましょう。
先生のご紹介
志磨 奏映 [SHIMA KANAE]
略歴:free導入支援責任者/freee会計公認アドバイザー
大学卒業後、ブライダル業界で写真・映像制作に5年従事。その後、調達・発注業務の事務職を経験し、簿記資格を取得。会計業務への興味から税理士事務所へ転職。当初は未経験ながら、業務効率化やクラウド会計(特にFreee)の導入を推進。事務所内での反発を乗り越え、Freee会計の可能性を追求。「Freee会計公認アドバイザー」として、中小企業のDX推進やオーダーメイドの財務コンサルティングに注力。お客様に寄り添い、最適な経営支援を提供することを強みとする。
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