フジ総合グループ 副代表/フジ相続税理士法人 代表社員 高原 誠
「相続税の業務は感動を呼ぶ仕事」土地相続に特化した企業グループの副代表が20年で味わった苦労とやりがい
「不動産評価×相続」
ーフジ相続税理士法人の強みを教えてください!
フジ相税理士法人は相続税専門の税理士事務所で、独立系コンサルティンググループとして、不動産鑑定事務所と協働しながら各相続案件に取り組んでいることが強みです。相続の種類にはお金、家、土地と3種類ありますが、そのうち土地の相続に強みを持っています。
税理士の中にも不動産鑑定士と業務提携を結んでいる先生は数多くいらっしゃいますが、同一のオフィスで一緒に仕事をしている税理士事務所は数えるくらいしかないと思います。「不動産評価×相続」という分野であれば、フジ総合グループはトップクラスだと思っています。
実は創業者が税理士と不動産鑑定士のダブルライセンスを持っていて、親戚の相続で創業者が土地の評価を見直し相続税の還付手続きを行ったところ、1,500万円くらいの相続税が戻ってきたんですね。それで、この還付業務は全国で行っていけるのではないかと考えて平成4年に業務として始めたのがきっかけです。当時は、相続税の還付業務自体が行われていなかったので、業務として最初に行ったのが当グループだと聞いています。
相続税対策や相続税申告のサービスも提供していますが、売り上げの半分は相続税の還付業務によるものです。ただ、還付についてはお客様のニーズが高いというよりも、納め過ぎた税金が戻ってくるなんてみなさんご存じないんですよね。ただ、実際ご依頼をいただくと7割くらいは還付の対象となります。そのため、お客様は本当に驚かれることが多いですね。
ー高原先生は普段どのような業務をされていますか?
実際に相続が起きた方の相続税の申告、 あとはこれから相続を迎えられる方々に向けて、相続税の対策・アドバイスを中心に、相続対策シミュレーションの試算結果の報告書作成や、対策のためのご提案などを日々行っています。勤務時間の半分くらいは、実際にお客様とお話しすることが多いですね。
ーフジ総合グループの副代表を務められていらっしゃるとのことですが、入社したきっかけはなんですか?
専門学校を出て二つほど税理士事務所勤務を経験した後、税理士試験に合格して今の事務所に入りました。当時は創業者が個人事業主として税理士事務所を経営しておりまして、私の前に働いていた税理士が辞めてしまったので税理士を募集していたんです。
税理士試験の勉強をしていた時からずっと、相続に携わりたいと思っていました。相続税の試験問題は財産の状況が与えられて、「納める相続税を計算しなさい」という問題なのですが、必ず愛人が出てくるんですよ(笑)。その愛人との間に子どももいて。所得税や法人税の計算はそこまで興味がでなかったんですけど、相続税だけは2時間もののドラマみたいに人間模様が見えて面白いと思ったんです。
ーそれはどんな問題なのか気になります……!(笑)
入社当初はどのようなことが大変でしたか?
社会人1年目は電話に出るのが恐ろしくてしょうがなかったですね。あとはどうしても計算ミスをしてしまったり。ミスをしないように、でも期限をしっかり守るためにはどうすればいいのか悩みました。
入社1年後に税理士法人を設立
ー高原先生はフジ相続税理士法人の立ち上げメンバーだとお聞きしました。
そうですね、法人としては私が入社した1年後に設立しました。実は事務所に入社したものの、いまの事務所に骨を埋める気はさらさらなかったんです。最初から2、3年したら独立したいということは伝えていて。
当時、フジ相続税理士法人は、創業者の個人名が入った税理士事務所だったんです。でも、今後は相続の分野が伸びていくから、「相続」という言葉が入った税理士法人を立ち上げるべきだという考えが経営陣のなかにありました。そんな中「独立したい」という27歳の若輩者が入ってきたので、「だったら、うちで独立したらいいんじゃないか」という話の流れになったんです。
当時の事務所も相続税還付の業務はやっていて、「相続税申告の業務の需要もどんどん増えていくから」と言われ、その言葉を信じて創業者と法人を立ち上げたのが平成18年です。それ以降、紆余曲折はもちろんありましたし、これからもきっとあるんだろうなとは思いますけど、今までなんとか無事にやってきたので、概ねよかったのではないかとは思っています。
ー紆余曲折というと、今までどんなことに苦労しましたか?
この業界は、スタッフ自身が商品ともいえるので、従業員の入れ替わりが多くなるのは税理士事務所の常なのかなとは思うんですけど、でもやっぱり大変だなと。辞めていく方はもちろんそれぞれの理由があって、その方の人生だからある程度は仕方ないと思っていますが、それでも右腕として頼っていた方が辞めてしまったときは、正直辛かったですね。
他に苦労したことといえば、土地の相続で揉めているお客様から突然夜の10時に電話がかかってきて、兄弟喧嘩の最中「この土地をどう分割したら相続税はどうなるのか、いま答えてほしい」と言われたんです。当時はリモートなんてなかった時代なので、事務所まで1時間半くらいかけて出かけて行って、事務所のパソコンを立ち上げて、言われた分割案の税額をFAXして、そのあとまたお客様に電話して……。大変なことは挙げればきりがないですけど、それは入社して最初の思い出としていまでも記憶に残っています。
相続税は感動を呼ぶ仕事
ーやりがいはどんなときに感じますか?
これも緊張関係にあったご兄弟の遺産分割協議のお話ですが、夜中の12時くらいまでお客様のご相続人全員とひざ詰めで「ああでもない、こうでもない」と一緒にお話ししたことがありました。遺産分割協議で揉めていたわけではなく、家を継いでいくために不動産を売るとか売らないかとか、そういうことで今後の方針に違いがあったんですね。
相続税の申告が終わったとき、ご兄弟3人が「いやあ、高原さんに頼んでよかった!」と手を取って握手してくれたんです。そんなふうに言っていただくと、やっぱりこの仕事をやっていてよかったなと。
相続税の業務は本当に感動を呼ぶ仕事だと思います。泣いて喜ばれる方もいらっしゃるので、そういうときは特にやりがいを感じます。相続税はやはり重税で、現金一括納付が原則ですけど、一括納付ができない方の中には、例えば銀行から借金して納付する方もいらっしゃいます。そうすると自分の楽しみを削らないといけないわけですよね。そこに我々が介入することでお客様の借金の負担を減らすことができるので、「諦めていた老人会の旅行に行けるようになる」と喜んでいただいたこともありました。
ー高原先生が日々仕事をする上で大事にしていることがありましたら教えてください!
お客様に本音で語ってもらえる存在になるということですかね。お客様には胸襟を開いてお悩みを話していただきたいですし、胸の内をお話しいただいたあとは、今度はこちらが心を開いて応えていく必要があります。
グループの行動指針に「聞く」「聴く」「訊く」、「頼まれごとは試されごと」という言葉があります。
「聞く」「聴く」「訊く」は、自分が話す前にまず相手の話を聞き、その姿勢を大事にするという意味です。お客様の言葉を“聞く”ことから始まり、「あなたの本音はなんですか?」と最終的な本心にたどり着くまで話を“訊く”ということですね。
「頼まれごとは試されごと」は、何かを頼まれたら、それは試されているということだから、ご要望には120%で応えましょうということです。そうすると相手も幸せな気持ちになりますよね。頼まれごとに対して100%で応えたとしても、もしそれが相手の予想通りであれば何も感じてもらえないかもしれませんが、120%で応えれば「こんなことまで!」と、驚きや感動があります。相手が幸せだとこちらも幸せになるので、常にこの指針を意識してこれからも行動していきたいと思います。
先生のご紹介
税理士
髙原 誠(たかはら・まこと)
フジ総合グループ 副代表
フジ相続税理士法人 代表社員
NPO法人 相続手続きサポートセンター 監事
相続に特化した専門事務所の代表税理士として、不動産評価部門の株式会社フジ総合鑑定とともに、年間990件以上の相続税対策・申告・減額・還付案件に携わる。
相続実務においては、不動産・保険等への造詣を活かした提案や、お客様の将来を見据えた長期的な視点でのアドバイスに定評がある。
また、セミナー講演や各種媒体への寄稿・取材協力も多数行っている。