マルナゲカンリ株式会社 代表取締役 / 共同創業者 小澤拓
経理・労務・人事・法務をまとめて代行!公認会計士が「管理業務特化」のアウトソーシングサービスを作った理由
「管理業務をまるっと投げてください!」
ー貴社は小澤先生と西澤先生お二人が共同代表の会社だと伺いました!ご創業の経緯を教えていただけますか?
西澤とは私がデロイトトーマツコンサルティングに勤めていた時の同僚で、お互い会社を辞めてからも近況報告をしながら、将来的に何か面白いことができたらいいよね!とずっと話をしていました。
そんな中、西澤の家業で長年勤められた経理の方が退職されることになり、代わりの方を探してもそう簡単に採用もできないという状況が発生して。その部分を西澤がサポートすることになったんです。私自身も親戚に家業をしている人がいるのですが、やはり採用が難しいという話を聞いていました。
今後少子高齢化でどんどん労働人口が減っていって人手が足りなくなると思うんですけど、その人手が足りなくなる部分って、大企業よりも中小企業が一番直面するだろうと。
我々は元々公認会計士というキャリアがあり、士業の中にも高齢化の波が来ていることを実感していました。そこに一石を投じることができないかと話していて、今年、2024年から管理部門に特化したアウトソーシングサービスを始めることにしました。
ー管理部門に特化した「マルナゲカンリ」はどのようなサービスですか?
その名のとおり、「中小企業の方の管理業務をまるっと投げてください!」という、経理・労務・採用・法務のアウトソーシングサービスです。
記帳代行や給与計算の代行は古くから税理士の先生も事業会社の方も提供しているサービスですが、それ以外の管理業務もまとめてコストも下げて、専門性、品質を担保した形で徹底的にやっていこうと。
日本の企業の99%は中小企業なので、やはり中小企業が頑張っていかないと日本全体の生産性も上がっていかない。頑張ると言っても色々取り組まなければならないことがある中で、「少なくとも管理業務の部分に関しては我々が巻き取るので、経営者の方には事業にコミットしてほしい」という思いがあります。
経営者の立場に立ってアドバイスができる
ー経理だけでなく労務や法務、人事まで対応するサービスを提供できるのは、お二人のご経験が基になっているのでしょうか?
今回管理業務のアウトソーシングを始めるヒントになったのが、西澤と私がコンサルティング時代、大企業のグループ会社の管理部門を集約して全部賄うシェアードサービスセンターの設計・構築プロジェクトに関わっていたことでした。
このシェアードサービスセンターの仕組みを中小企業向けに作っていけば、多くの中小企業の方々の管理業務の手間からの解放になるんじゃないかと気づいたんです。
一方で、単に事務作業だけ代行したり専門家業務だけ代行したとしても、それで本当に中小企業の社長のニーズを満たせるかというと、必ずしもそうではないだろうと。やはり経営者がどんな悩みを抱えているのかについては、経営や事業を運営したことがある人じゃないと分からないことがどうしてもあります。
税理士や弁護士、社労士などの先生方はその業務においては専門家ですが、事業を運営したことがあるかというと、そうとは限らないですよね。相談したいことや言いたいことが上手く伝わらず、コミュニケーションが億劫になることもあると思うんです。
この点においては、西澤は過去に2回起業しており、私自身は起業は今回が初めてですが、ベンチャー企業2社で役員として事業運営の経験があります。経営者の立場に立った上でアドバイスができることは、他の代行会社にはない強みかなと思っています。
ー小澤先生はベンチャー企業ではどのようなお仕事をされていましたか?
私は株式会社キューブという、富裕層に向けたラグジュアリーゴルフアパレルの企画・生産・販売をする会社に6年半勤めていました。最初の5年半はCFOとして、最後の1年はCOOのポジションにおりました。
今回起業した内容にもかなり直結しているのですが、基本的には経理・労務・人事採用・法務・総務事務・情報システムなどのいわゆるコーポレートファンクションの仕事は一式全部見させていただきました。あとは事業サイドのフォロー、サポートもしていたので、縦横無尽にやってきた感じですね。
ー前職のお仕事で特に大変だったことはありますか?
元々転職した当初は従業員が20人もいないくらいの規模から一気に会社を拡大していくというフェーズで、こんなに働いたことあるかっていうくらい毎日仕事をしていたので、もう二度とやりたくないと思いますね(笑)
採用をどんどん仕掛けていく時期だったのですが、管理部門がなく部下もいないような状況で。人を採用していくとやっぱり会社の雰囲気も変わっていくので、昔から勤めていた方が辞めてしまったり。チームアップされていれば良かったのですが、一人で全部回さなきゃいけない状況だったので毎日てんやわんやでした。やることが永遠にあり、物理的に限界になるくらい働いていました。
ーそれは辛いですね…
反対に、楽しさややりがいはどのようなときに感じますか?
直近10年、ベンチャー2社で働いてきたことに関して言うと、自分が何かをしたからやりがいを感じるというよりは、部下や後輩が頑張って成果を出してくれたときですかね。あとはみんなで頑張って予算が達成できたときとか、働いてくれる人たちが「この会社で働けて嬉しい」「採用してくれてありがとうございます」というような言葉を聞けると、頑張っている意味があるなと思います。
やっぱり採用、HR系をやっていると、なんでしょうね、人のことがたぶん好きになるんでしょうね。一緒にやってくれる仲間が揃ってくると、加速度的に成長していくので。採用という仕事は、苦労する部分もありながら、かなり大事になってくる部分かなと思います。
人の話をちゃんと聴く
ー小澤先生が仕事をする上で大切にしていることがあれば教えてください!
今の話に繋がるかもしれませんが、人の話をちゃんと聴くことです。傾聴力って言うんですかね。どうしても忙しい時には話半分になってしまうことが私ももちろんあるんですけど。
しっかりと聴く姿勢を示さないと、相手は一生本音は言わないでしょうし、気づいたらフラストレーションが溜まって、急に「辞めます」となったりするんですよね。なので社内外問わず「この人は何を考えているのかな」と思って聴くことを意識しています。
これはもう、昔からですね。私は最初の就職先が監査法人ですが、「監査」は英語で「audit」といって、「audit」は「聴く」という意味もあるんですよね。まさにそういう仕事だなと。監査の仕事では資料をチェックし疑問が生まれると、ファクトにたどり着くためにクライアントが何を考えているのか、なぜその状況に至ったか、背景を聞き出す必要があります。そのような業務に日々延々と取り組む仕事から始まったからかもしれないですが、「ちゃんと聴く」ということは今も心に留めています。
先生のご紹介
マルナゲカンリ株式会社 代表取締役 小澤拓
監査法人では法定監査やIPO支援、コンサルティング会社ではシェアードサービスセンター導入等の各種コンサル業務に従事。6年間の専門経験を積んだ後、事業会社に転身。家電ベンチャー企業カドーでは取締役として3年半、資金調達や事業成長をけん引し、2017年からはアパレルブランド企業キューブ [東証 7112]における取締役に就任。東証グロース市場への上場をリードしつつ、会社経営全般を推進した。2024年3月マルナゲカンリを共同代表の西澤とともに創業。
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