税理士櫻井明人事務所【税理士】櫻井 明人

経営者の「何でも話せる伴走者」へ——会社の未来を共に創る、元国税調査官税理士の歩み

2026-08-10

櫻井明人

「かっこいい」から始まったキャリアと、税務調査で直面した現実

—— まずは、櫻井先生が税務の世界を目指されたきっかけからお聞かせください。

櫻井:学生時代は名古屋市南区で過ごし、小学校から高校まで野球ばかりやっていました。中学の時は野球のクラブチームに通いながら、野球に活かすために陸上部で200mを走るなど、とにかく外で体を動かすのが大好きな少年でしたね。

勉強一筋というタイプではありませんでしたが、転機になったのは高校卒業の時です。たまたま公務員試験のパンフレットを目にして、国税局へ入ると「税務大学校」という学校で、お給料をもらいながら勉強ができると知りました。大学の教授が講義に来るような本格的な環境で、学校に通いながら給料がもらえて、さらに将来的に税理士の資格までもらえる。「そんな仕事があるのか、かっこいいな」と純粋に惹かれたのが始まりです。

—— 実際に入庁されてからは、どのようなキャリアを歩まれたのでしょうか。

櫻井:入庁前は大原の専門学校の短期講座に通って簿記3級を必死に取得し、税務大学校で1年間の全寮制生活を送りました。厳しい門限の中でみっちり税法や簿記を叩き込まれた後、20歳で四日市税務署の法人課税部門へ配属されました。

ただ、実際に仕事を始めると、学校で学んだ学問と実務は全く違いました。電話対応や質問への回答に追われる中で、最初に強く感じたのは「税務署はとにかく嫌われる場所なんだ、来て欲しくないと思われるんだ」という現実でした。私はもともと、人の役に立ちたいという気持ちも持ってこの世界に入ったので、誰からも「ありがとう」と言われない仕事の本質に気付いたときは、正直大きな戸惑いがありましたね。

「嫌われる仕事」が教えてくれた、経営者との向き合い方

—— そこから、どのように仕事への向き合い方が変わっていったのでしょうか。

櫻井:大きな転機となったのは、四日市から静岡県の沼津税務署への異動です。それまでは苦手意識のあった税務調査ですが、事前に資料を準備し、「どこに論点があるか」と仮説を立てて臨む面白さに気づきました。自分の狙い通りに話が進み、成果に繋がった時の達成感から、「これならやっていけそうだ」と手応えを掴むことができたんです。

また、様々な業種の調査を通じて、会社の仕組みや社長の考え方、業種特有の悩みなどを体感できたことは、まさに濃い人生経験であり大きな財産となっています。中には少し個性的な事業をされている会社もあり、おすすめされた商品を「確かに良い気がしますね」と場の空気を和ませつつ、裏では売上の未計上をしっかり見つけ出したこともありました(笑)。こうした多様な現場を経験できたことが、その後の大きな糧となっています。

—— 調査では、経営者とのコミュニケーションも重要だったのですね。

櫻井:そうですね。調査では、まず相手にリラックスしていただくことを大切にしていました。いきなり帳簿の話をするのではなく、「最近仕事はどうですか?」「どんなお客さまが多いですか?」といった仕事の話から入るんです。

社長はご自身の仕事について興味を持って聞いてもらえると、自然と会話が広がります。その中で少しずつ信頼関係を築き、本題に入っていく。この経験で培った「話を聞く姿勢」は、今の税理士としての仕事にも大きく生きていると感じます。

 

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「税務署の視点」を武器に独立

—— 国税局での経験を経て、独立を決意された理由は何だったのでしょうか?

櫻井:調査を続ける中で、「自分が税理士だったらもっと社長の力になれたのではないか」と痛感する場面が何度もありました。税理士へ十分に相談できていない経営者も多く、「もっと間に立って支えられる存在になりたい」という思いが強くなったんです。勤続23年で税理士資格を取得できるタイミングを迎え、2025年に独立しました。

現在は1人で事務所を運営しており、「税務署の調査が来ない会社をつくること」をテーマに掲げています。調査官がどこを見て、どんな点を気にするのかを知っているからこそ、事前にリスクを防ぐご提案ができます。

—— 現在はどのようなお客さまをサポートされていますか?

櫻井:建設業のお客さまを中心にサポートしています。最近の建築業界は厳しい状況にあり、社長からは「税金を安くしてほしい」という抽象的な相談から、「同族間での取引はどう見られるか」といったリアルな質問、さらには「仕事がない」「利益が残らない」というお話や従業員との関係性の悩みまで伺っています。

経営者は常に孤独で、誰かに自分の意思決定を後押ししてほしいのだと感じます。だからこそ、税務の枠を超えて、何でも気軽に相談できる『身近な相談相手』として、社長の意思決定を支援する伴走者でありたいと思っています。

過去ではなく未来を見る。財務支援への挑戦

—— 今後、特に力を入れていきたい分野はありますか?

櫻井:これからは税務だけではなく、財務支援にも力を入れていきたいと考えています。税務や税務調査は、どうしても過去を扱う仕事です。しかし、経営者が見ているのは常に未来です。だから私も、キャッシュフローや将来の計画づくりなど、「これからどうするか」を一緒に考える存在になりたいと思っています。

また、もう一つの理想のビジョンとして「セカンド税理士」という役割を名刺にも掲げています。これは、今お付き合いのある既存の顧問税理士の先生を変えることなく、税務署の目線を持った私を2人目のアドバイザーとしてスポットで入れていただくという提案です。このアプローチで、将来的には税理士法人化も目指しながら、50社ほどの会社をじっくりと後押ししていきたいですね。

AI時代にこそ、人だから届けられる価値を

—— 最後に、今後の目標と読者へのメッセージをお願いします。

櫻井:AIの進化によって、会計や税務の処理業務はますます効率化されていくと思います。だからこそ税理士には、数字を処理するだけではなく、経営者の悩みを聞き、一緒に考え、意思決定を支える役割がより求められる時代になるはずです。私自身も、税務だけでなく財務や経営まで幅広く相談していただける税理士を目指していきたいと考えています。

数字の処理はAIに任せられる時代になっても、最後に経営者が相談したい相手は「人」だと私は信じています。対面で空気感を感じながら話をし、一緒に悩み、未来を考えることには、人にしか生み出せない価値があります。これから税理士を目指す方や独立を考えている方にも、税務の枠にとどまらず、経営者に寄り添える存在を目指していただきたいですね。私自身も多くの税理士の皆さんと連携しながら、中小企業の意思決定を支えていきたいと思っています。

先生のご紹介

櫻井 明人 [SAKURAI AKITO]
略歴:税理士。高校卒業後に国税局へ入局。税務大学校での研修を経て、四日市や沼津などの税務署で法人課税部門や税務調査に長年従事する。数多くの経営者と対面する中で、調査官側の視点や意図を深く理解し、多様なビジネスモデルへの知見を養う。
「より近くで社長の役に立ちたい」との想いから独立し、現在は建設業を中心に企業の意思決定をサポート。元国税の経験を活かした税務調査の事前リスク診断のほか、キャッシュフローや未来計画といった「先を見る財務支援」を得意とする。
今後は、既存の税理士を変えずに異なる視点からアドバイスを提供する「セカンド税理士」としての展開も見据え、孤独な経営者にどこまでも寄り添う伴走型の支援に注力している。

所在地:名古屋市中村区名駅4-24-16 名古屋広小路ガーデンアベニューセンター4階
HP:https://sakuramgo.com/