グロースリンク税理士法人 山本 晃良多

「困ったら、まず相談したい」と思われる存在へ——信用金庫から転身し、生成AIと対話力で“経営者の隣”に立つ

2026-08-27

山本 晃良多

信用金庫での営業で痛感した、経営者との距離感

—— まずは、これまでのご経歴をお聞かせください。

山本: 地元・静岡県の信用金庫で約4年間、営業として中小企業の経営者へ融資や資金繰り支援を行っていました。もともと「経営者と深く関わる仕事がしたい」と考えて入庫したのですが、何度も「一度、税理士に相談する」と言われる場面に直面したんです。金融機関職員はどうしても交渉相手という立場で、本音をすべて打ち明けてもらえる存在にはなりにくいと痛感しました。営業ノルマとの板挟みに悩むことも多く、「お客さま第一で伴走したい」という思いが強くなっていったんです。

その頃、転職の相談に親身になって乗り、背中を押してくれたのが妻でした。結婚を機に名古屋へ移るタイミングも重なり、「経営者にもっと近い立場で支援したい」と税理士業界への挑戦を決意しました。当時は簿記3級しか持っていませんでしたが、元金融機関職員としての経験を評価していただき、未経験から新たな一歩を踏み出すことができました。

効率化の先にあった「もっと寄り添いたい」という思い

—— 前職ではチームリーダーも務められたそうですね。

山本: はい。約4年間勤務し、チームリーダーとして部下やパートスタッフのマネジメントも担当していました。メンバーが気持ちよく働けるように業務を割り振ったり、相談に乗ったりする機会も多く、自分自身にとって貴重な経験になりました。一方で、組織として効率化を追求する方針が徹底されていて、リモート面談が5分刻みで続く日も珍しくありませんでした。

目の前の業務をこなすことに精一杯で、「さっきどのお客様と何を話しただろう」と感じるほど慌ただしい毎日でした。本来であれば、経営者一人ひとりの状況や想いを丁寧に聞き、長期的な視点で伴走したいという気持ちがあったのですが、件数をこなすことが優先される場面も多く、その理想とのギャップを感じるようになったんです。

—— お客さまと向き合う余裕も少なかったのでしょうか?

山本: そうですね。件数はこなせても、本当に寄り添う感覚とは違いましたし、新しい挑戦をする余裕もありませんでした。そんなときにグロースリンク税理士法人から声をかけていただき、代表の考え方や挑戦を歓迎する文化に惹かれて転職を決意しました。幹部候補として引き留めていただいた前職には感謝していますが、「一度きりのキャリアだからこそ挑戦したい」と考えました。

AIは脅威ではなく、税理士を支える最高のパートナー

—— 現在はどのような取り組みをされていますか?

山本: 現在は事務所内のAI推進プロジェクトのリーダーを務め、生成AIを活用した業務改善や社内ツールの開発に取り組んでいます。業界では「AIに税理士の仕事が奪われる」といった声もありますが、私はむしろ「AIを使いこなせる人の価値が高まる時代」だと考えています。単純作業をAIに任せることで、人だからこそ提供できる提案や経営者との対話に、より多くの時間を使えるようになると感じています。

—— 具体的には、どのようにAIを活用されているのでしょうか?

山本: Google Geminiを活用して社内ツールを自作しています。例えば、安全な環境でPDFを編集できるツールや、予実管理ツールをGoogle Apps Scriptで構築したところ、短時間で実用レベルまで完成しました。まるで優秀なアシスタントと共同作業をしているような感覚です。

また、顧問先から領収書や請求書整理の負担について相談を受けた際には、生成AIを活用した自動化の仕組みを提案し、大幅な業務効率化につながりました。社内でも、まず少人数で便利さを体感してもらい、その口コミで自然と利用が広がっています。

「管理」よりも、自走できるチームづくりを目指す

—— マネジメントで大切にしていることを教えてください。

山本:私自身、細かく管理されるのが得意ではありません。だからこそ、メンバーにも過度な管理はせず、最終目標までの間に達成しやすい中間目標を細かく設定し、一歩ずつ成長できる環境づくりを意識しています。

—— ゴールだけでなく、その過程も重視されているのですね。

山本:そうですね。いきなり高い目標だけを示すのではなく、小さな成功体験を積み重ねてもらうことが大切だと考えています。今のチームは入社3年目前後のメンバーが中心ですが、大枠はこちらで示しつつ、進め方は本人に任せることで、自分で考えて動ける人材になってほしいと思っています。分からないことがあればいつでも相談できる環境を整えながら、最終的には自走できるチームを目指しています。

AI時代だからこそ、人にしかできない価値を高めたい

—— 今後のビジョンを教えてください。

山本:まずはグロースリンクを「AIやクラウド会計に強い事務所」としてさらに発信し、その魅力をより多くの方に知っていただきたいと考えています。AIは単なる効率化のためのツールではなく、経営者と向き合う時間を生み出し、税理士がより価値の高い仕事に集中するための手段だと思っています。

また、将来的にはセミナーなどにも積極的に登壇し、現場で培ったAI活用のノウハウを発信していきたいです。業界全体で新しい技術を前向きに取り入れ、税理士がお客様に提供できる価値をさらに高めていく一助になれたらうれしいですね。

—— AIの普及によって、税理士の役割も変わっていきそうですね。

山本:税理士業界ではAI導入に慎重な声も少なくありませんが、機密情報に配慮しながら活用できる場面は数多くあります。単純作業が自動化される時代だからこそ、人間には「仕組みを設計すること」「最終判断を行うこと」、そして何より「経営者の夢の実現の為に伴走すること」が求められるはずです。

私自身も、「困ったら一度、山本君に聞いてみよう」と思ってもらえる“ファーストオプション”であり続けたい。そのために生成AIという武器も積極的に取り入れながら、一歩先の価値を提供できる事務所を目指していきます。

経験よりも「挑戦する気持ち」が、新たなキャリアを切り拓く

—— 最後に、この記事の読者へのメッセージをお願いします。

山本:税理士業界は、AIの進化をはじめ大きな変化の時代を迎えています。ただ、私は「AIに仕事を奪われる」のではなく、「AIを使いこなせる人がより価値を発揮できる時代」になっていくと考えています。だからこそ、新しい技術を恐れず、自分なりに触れてみる姿勢が大切ではないでしょうか。

また、私自身は銀行員から未経験で税理士業界に飛び込みました。当時は簿記3級しか持っていませんでしたが、一歩踏み出したことで今のキャリアにつながっています。経験や資格だけにとらわれず、「挑戦してみたい」という気持ちを大切にしてほしいですね。

税理士の仕事は、申告書を作るだけではなく、経営者の悩みに寄り添い、一緒に未来を考える仕事です。人と向き合う姿勢や信頼関係の大切さは、どれだけテクノロジーが進化しても変わらないと思います。この記事を読んでくださった方が、自分らしい強みを磨きながら、新しい時代の税理士像を前向きに描くきっかけになれば嬉しいです。

先生のご紹介

山本 晃良多 [YAMAMOTO ARATA]
略歴:地元の信用金庫にて営業渉外担当として4年間勤務。その後、税理士法人へ未経験で入社し、4年間の実務を経てチームリーダーを務める。2025年4月、グロースリンクへ入社。
現在は社内のAI推進プロジェクトリーダーとして、GeminiやGASを活用した独自の業務改善ツールの開発・社内展開を牽引。「顧客のやりたいを叶える一番の理解者」として月1回の丁寧な対面面談を徹底し、元銀行員の経験を活かした融資・補助金相談から、AI活用やクラウド会計の移行支援まで幅広くサポートしている。

所在地:愛知県名古屋市中村区平池町四丁目60番地の12 グローバルゲート19階
HP:https://www.tsurutax.com/