髙田葵税理士事務所【税理士】髙田 葵
子育てと仕事を自分らしく両立させる——顧客との信頼関係を大切にする、若き税理士の歩み
2026-02-4
自分のスタイルで事業を構えるべく、奈良で独立を決意
——税理士を目指したのは、同じく税理士であるお父様の影響が大きかったのでしょうか?
髙田:父の影響がゼロだったわけではありません。ただ、「父に憧れて」というよりは、身近な職業として自然に選択肢に入っていたという感覚に近いですね。
実際、税理士の道へ進むことを決断した際も父に相談はせず「まずは自分の力でやってみよう」と試験を受け始めました。それと同時に、進路について唯一意見を求めたのが、大学院への進学です。「最短ルートで資格を取得し、早く実務に就きたいなら、大学院という選択肢もいいのではないか」と助言をもらい、自分の考えを固めていきました。
——お父様の事務所を継がずに、奈良の生駒で独立したのはなぜですか?
髙田:大きな理由は「子育て環境」と「理想とする顧客層の違い」の2つです。父の事務所は京都市内にあり、今の生活拠点からは距離があるため、家族との時間を大切にしながら働くには生駒がベストだと判断しました。
また、父とは性格も仕事へのアプローチも異なります。父の築いてきたものを守るより、自分と価値観の合うお客様と、自分らしいスタイルで向き合いたい。
そう考えた結果、この場所での独立を決意しました。
顧客との関係構築を問い直す課題に直面
——独立後、現場ではどのような課題に直面しましたか?
髙田:独立して初めて「私がお客様に提供できる価値」を問い直すことになりました。税理士として勤務していたときは、ルーティン業務に追われていてAIや研修を試す余裕がなく、与えられた仕事をこなすことが多かったためです。
顧客が何に価値を感じているのかは、自分の推測だけでは分からないということに気づきました。そのため、Googleフォームを使ったアンケートの実施を開業初年度から始めました。
——アンケートにはどのような声が寄せられましたか?
髙田:「話しやすい」「聞きやすい」といった声が多く寄せられています。中には、前の先生に怒られたことが原因で、相談しづらくなっていたという顧客が来てくれることもあります。このような声から、税務知識や効率性よりも、顧客が「この人は相談しやすい」と感じられるかどうかが、実はすごく大事なんだと気づきました。
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「話しやすさ」を最優先に、オープンな関係づくりを構築
——気づきを得て、顧客へのアプローチをどのように変えていったのでしょうか?
髙田:話しやすさを最優先に意識するようになりました。こちらが話しやすいだけでなく、相手が話しやすいと感じてくれているかも大切にしています。
また、面談前後のやり取りを通して「質問したことに答えてくれるか」「約束の時間に来てくれるか」といった基本的な部分も確認しています。相互に理解し合える関係でなければ意味がないので、相性が良くないと感じたら契約を断ることもあります。
——それは思い切った判断ですね。
髙田:そうなんです。でも実際に何人か断っています。力になれない関係だったら、相手にとってもこちらにとっても幸せじゃないんです。オープンに話せる関係性を築ける顧客と一緒に働く。その方がお互いにプラスになると感じています。
テクノロジーは困ったときに活用し、顧客との面談に全集中
——クラウド会計ソフトについてはどうされていますか?
髙田:freeeをメインにしながら、顧客の状況に応じてマネーフォワードも使うハイブリッド形式を採用しています。自分がfreeeを使いやすいと感じていることや、効率化を考えた場合にfreeeが向いている場合があるためです。
——AIやOCR機能は活用されていますか?
髙田:OCR機能は、Geminiで医療費の集計などに活用しています。AIについては、Claudeを活用してみたのですが、「ちょうどいい」という印象です。他のAIと比べて、回答の長さやポイント、気遣いの効き方が優れていると感じます。
ただ、テクノロジーを掘り下げることが好きなタイプではないので、仕事で困っていることがあれば、それを解決するためにツールを使うというスタンスです。理想としては、納品物の作成やデータのリネーム、資料の振り分けといった「繰り返しの作業」をテクノロジーで効率化し、顧客との面談に全集中したいと思っています。
会いたい人には会いに行く。対話を通して関係性を深めたい
——仕事とは別に、特に力を入れていることはありますか?
髙田:「興味がある人や会いたい人に会いに行く」ことです。同じ子育てをしている同業者なら、仕事とプライベートの両立方法について共通の悩みを話し合うために会いに行く。
人に会うことには特にハードルを感じていなくて、純粋に自分の興味で動いているだけなんですよ。著名な税理士など「すごい人」に対しては、なぜそうなれたのか、その原因や理由を聞きに行くことが多いです。
——対面とオンラインは使い分けていらっしゃいますか?
髙田:距離や時間的に難しい人とは、オンラインでコミュニケーションを取ります。ただし、オンラインでも関係性を深められる人と、そうでない人がいると感じているため、できる限り直接会いに行きますね。
子育てを最優先としながら、顧客との関係性を築いていく
——今後の目標についてお聞かせください。
髙田:子育てを最優先としながら、無理のない範囲で良い関係性を築ける顧客と一緒に仕事をしていくことです。現状、従業員を増やすことは考えていません。
金融機関の融資相談については、必要に応じて面談に同行したり計画書を確認するなどの対応を行いたいと考えています。相続は現在扱っていないので、他の先生に依頼するか、勉強のためにも自身で受けるか検討中です。
税務調査についても、もちろん対応してます。遠方からの案件は対応が難しいと、そもそもの顧問契約をお断りする場合があります。税務調査は、顧客が最も不安になる時であるため、現地に行けない状況を避けたいと考えています。子どもが大きくなったら対応エリアを広げるかもしれません。
自分のペースを大事にする働き方を考えてみませんか?
——最後に、税理士・会計士の方々へメッセージをお願いします。
髙田:大切なのは、顧客とのオープンな関係性です。心を開いて話して頂ければこちらが気づいてアドバイスできますし、リスクも未然に防げることが多いです。
業界全体で女性税理士が少ない現状ですが、子育てと仕事の両立は十分に可能です。そのために自分のスタイルを理解して頂くことの大切さも感じています。自分のペースを大事にしながら、顧客との信頼を何より大切にする。その姿勢があれば、きっと道は開けるはずです。
先生のご紹介
髙田 葵 [TAKADA AOI]
略歴:大手営業会社から転職し、関西大学会計専門職大学院に進学。税理士試験合格後は、税理士法人和等で7年勤務し、結婚を機に奈良県生駒市へ移住。2025年に独立し、現在、freeeを軸としたクラウド会計を活用しながら、地域事業者を中心に顧問業務を展開。子育てとの両立を優先しつつ、顧客とのオープンな関係づくりを何より大切にする税理士として活動中。
所在地:奈良県生駒市谷田町1615アコールいこまもやい館4階