となり税理士事務所【税理士】尾部 啓一
融資の現場から経営者の“隣”へ──創業期の命綱として支える税理士の挑戦
融資担当者から、創業期企業を支援する税理士への転身
—— まずは、先生の経歴と現在の活動を教えてください。
尾部: 大学卒業後、金融機関で12年間融資担当として働き、2024年7月に「となり税理士事務所」を独立開業しました。現在は創業期の企業支援を中心に、資金調達から日々の資金繰り管理まで、事業者の隣で伴走する税理士として活動しています。直近では2期目の企業で合計4,000万円の融資支援を実現するなど、数字に強い実務サポートを提供しています。
—— 税理士を目指したきっかけは何でしょうか。
金融機関で融資を担当していた時、お客さんからの相談はたいてい「手遅れ」でした。月末にキャッシュアウトする直前に駆け込まれても、銀行としては融資できない。もうちょっと早く相談してくれれば何とかなったのに、という状況が本当に多かった。
決定的だったのは、尊敬する経営者の方が納税資金不足で会社を畳み、借金に追われて「本気で自殺を考えた」と話されたことです。経営者にとってキャッシュは本当に命なんです。それなのに、税理士は「決算が終わってから申告するだけ」という状況が多い。「これでは事業者を守れない」と思い、「資金繰りまで見て一緒に走れる税理士」になろうと決意しました。
顧問先と従業員にメリットを生む柔軟な仕組みづくり
—— 独立後、直面した課題はありましたか?
尾部: 課題は顧問先をもっと増やすことですね。一緒にやりたいと言ってくれる優秀な方がいるんです。3児のママで公認会計士の資格を持ち、10年以上税理士事務所で働いてきた方なのですが、子育てしながら働ける場所がない。そういう能力を埋もれさせるのはもったいないので、受け入れられるだけの顧問先を増やしたいと思っています。
それ以外は、おおむねポジティブに進んでいて、やりたいことをできている実感があります。0からのスタートでしたが、ホームページや人脈を通じて顧問先を獲得し、創業融資支援も含めた伴走型のサポートを実現できています。
—— 課題に対して、なにか実践されていることはありますか。
尾部: まず、従業員に対してはフルリモート・フルフレックスの事務所運営を実践しています。税理士業務はアウトプットが明確なので、担当先の記帳代行から申告書作成まで、成果物をしっかり出してくれる前提があれば、いつ働いてもいい環境を作れるんです。
顧問先に対しては、料金体系を工夫しています。創業期の方は資金が厳しいので、初期は低めに設定し、成長に合わせて見直すLTV重視の設計にしています。個人事業主の法人化支援では、役員報酬や社会保険料を含めた全体最適を提案し、顧問料も削減効果の範囲内でいただくなど、お客様にデメリットがない形を心がけています。
インタビューで、あなたの『価値』を届けませんか?
記事作成・掲載は無料。ふらっとがあなたの発信を全力でサポートします。
コミュニティーに参加しインタビューを受ける
“申告だけで終わらない”税理士を増やしたい
—— 今後の取り組みと業界への展望をお聞かせください。
尾部: 短期的には、担当者一人あたり10〜12社程度の顧問先を持てるよう事務所を拡大し、子育て世代が実力を発揮できるチームを作りたいと思います。
長期的には、業界全体を変えていきたい。申告だけで終わる税理士が多すぎます。税理士・会計士業界は世間より20〜30年遅れていると感じています。私はChatGPTなどのAIツールを積極的に活用して独自開発も手がけており、こうした技術で事務作業を効率化することで、本来やるべき事業者支援により多くの時間を割けるようにしています。
業界全体で隣に寄り添うサポーターを増やし、ただの税務処理ではなく、事業主の命と未来に直結する支援を広げていきたいと考えています。
税理士業界を、そして日本を変えていく仲間に
—— 税理士・会計士を目指す読者へ向けてメッセージをお願いします。
尾部: 勉強は本当にしんどい。僕も働きながら死ぬほど苦労しました。でも、資格を取得した先には必ず素晴らしい未来が待っています。
税理士は事業の根本に継続的に関われる最強の資格です。他の士業は基本的にスポット業務ですが、税理士は全事業者が必要とする継続的な顧問業務を担当できる。AIに置き換えられるという話もありますが、事業者の隣に寄り添い、資金と経営を一緒に見る税理士は絶対に代替できません。
将来的には、独立して良い事務所を運営するノウハウは、全てオープンソース化するつもりです。若い人がどんどん入ってきて、独立しやすい環境を作り、業界をきれいにしていきたい。今苦しんでいる方がいれば、気軽に相談してください。一緒に業界を、そして日本を変えていく仲間になってほしいです。
先生のご紹介
尾部 啓一 [OBE KEIICHI]
略歴:税理士。大学卒業後、金融機関で融資担当として12年間勤務。手遅れの状態で相談に来る企業を目の当たりにし、経営者の命綱である資金繰りを支える税理士を志す。働きながら税理士資格を取得し、2024年7月に独立開業。金融機関での経験とAI活用スキルを活かし、創業融資支援やキャッシュフロー改善など、税務会計にとどまらず事業主の伴走型サポートを行う。「子育てと仕事を両立できる事務所」を目指している。
所在地:大阪府大阪市西区立売堀1-4-12 立売堀スクエアビル8F-18