Kakitsu株式会社【公認会計士/税理士】吉條 嘉家
「中小企業から大企業まで、誰一人取り残さない業務改善を」実家のおもちゃメーカー再建の手腕を持つ士業の軌跡
マーケティングから業務改善まで士業の枠を超えた多角的支援
—— まず、現在の活動についてお聞かせください。
吉條: 昨年11月に税理士登録をして、税務顧問とDXコンサルティングを両輪で展開しています。特にfreeeを軸とした基幹システムの開発・導入が強みですね。freeeとAPI連携する販売・仕入・在庫管理システムを自社開発していて、年商1〜2億円の成長企業から、過去には150億円規模の大手まで対応してきました。
また、おもちゃメーカー時代の経験を活かして、マーケティングやブランディング、商品企画の顧問もしています。出版・教育業界とのネットワークも強く、某大手教育関連企業などの大手企業との業務フロー構築案件も手がけています。
—— 士業の枠を超えた多角的な支援ですね!
吉條: 「単に帳簿ができて申告できればいい」という時代ではないと思うんです。それがベースにあった上で、プラスアルファの価値をどう出せるかが勝負だと考えています。
—— 公認会計士を目指されたきっかけは何だったのでしょうか?
吉條: 中学・高校時代は勉強もせず、大学も二流という状況でした。「これは一発逆転しなければ」と思って、難関資格として知られていた会計士に挑戦したんです。特別に会計士業務に憧れていたわけではなく、純粋に「一発逆転」を狙った選択でした。
「実家がなくなる」危機から始まった、マーケティング・ブランディングの原体験
—— その後、お父様の会社に戻られ、家業再建されたそうですね。
吉條: はい、父が創業したおもちゃメーカーが大赤字に陥って、「お前が帰ってこなければ、実家も何もなくなるぞ」と言われたんです。年商7000万円、借金2億円、債務超過7000万円の欠損という状況で、まさに潰れかけていました。
もう背水の陣でしたね。とにかく営業に振り切って、売上を作ることに集中しました。マーケットを変え、ブランディングを見直し、商品企画に力を入れた結果、年商を十数億円まで伸ばすことができました。
「これからが本番」と思っていたのですが、父と経営方針で揉め、再建後は離れることにしました。もしあのまま続けていたら、今頃50億、100億円規模になっていたかもしれませんが、それも一つの経験ですね。
「DX迷子」の中小企業の現実とシステム開発の試行錯誤
—— 士業として、現場で直面している課題についてお聞かせください。
吉條: 中小企業を見ていると「DX迷子」になっている会社が本当に多いんです。部署ごとにバラバラなツールを導入して、機能が重複していたり、結局使いこなせていなかったり。便利そうに見えるツールでも、実際に動かしてみると「うちの業務にはそうじゃないんだよね」ということがよくありまして。
なので、うちの基幹システムでは、そんな「DX迷子」を生まないよう心がけるようにしています。
—— 具体的に、どのような工夫をされているのでしょうか?
吉條: おもちゃメーカー時代に、全国の書店で委託販売するビジネスモデルを立ち上げたのですが、委託販売まで管理できるシステムが当時なかったんです。そこで2000年頃からクラウドが出てきたタイミングで、Web上でデータ一括管理できる販売・仕入・在庫管理システムを自作しました。
現在のfreeeと連携した基幹システムも、その経験がベースになっています。freeeの請求ベースの売上計上と、一般的な販売ソフトの実績ベースの違いを理解して、月次できちんと振替伝票を入れて集計をぴったり合わせるなど、細かな部分にこだわって作っています。
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京セラ創業者・稲盛氏の経営哲学にならった組織づくり
—— 経営支援で大切にされている考え方を教えてください。
吉條: 25年間、京セラ創業者の稲盛和夫さんの経営塾に参加していて、「全員参加型経営」という考え方を学んできました。重要なのは「経営者だけの数字遊び」にしないことです。経営者が恣意的に数字をいじってしまうと、従業員には見透かされてしまう。そこに税理士のような第三者が入って、ルールに基づいて数字がちゃんと反映されることが確保されると、みんなが月々の業績や時間あたりの生産性の競い合いをスポーツのように楽しめるようになるんです。
—— 具体的にはどのような仕組みですか?
吉條: 時間あたりの生産性を競います。ですが、個人やチームのインセンティブには繋がらず、勝った人は名誉がもらえるだけ。「会社の業績はそれぞれのチームが協力し合って出している」という考え方で、前後の部門の協力もあって初めて成り立つものだからです。
freeeのデータベース思考は、こうした「管理会計の数字」を簡単に引っ張り出せるので、非常に相性がよく、システム開発しやすいんです。
「誰一人取り残さない」理念を実践し、成長したい
—— 今後の取り組みと展望についてお聞かせください。
吉條: まずは既存のお客様の申告をしっかりやって、税務顧問の基盤を固めることですね。その上で「売上1〜2億円でこれから成長したい」という会社と一緒に伸びていきながら、営業的なアドバイスもできる関係を築きたい。それが一番やりがいがありそうです。5〜10億円規模になってきたら、うちの基幹システムを入れてもらえれば相当効率化できると思います。また、ベネッセさんのような大企業の業務フロー構築案件も、年間6件程度は維持したいですね。
また、日本SDGs協会の専務理事もやらせていただいていて、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念と稲盛氏の「全員参加型経営」は非常に近い考え方なんです。AIなども活用しながら、楽しく仕事ができるような管理業務を構築していきたいと考えています。
同じ志を持つ仲間と「現場を強く、楽しくする右腕」に
—— 最後に、税理士・会計士の皆様へメッセージをお願いします。
吉條: freeeメインで顧問をされていて、クライアントの業容拡大で販売・在庫管理が課題になった時は、ぜひ声をかけてください。年商が5億円を超えて「ちょっと厳しいな」と感じる場面でも対応できます。また、DXの全体設計から伴走してほしいという案件も歓迎です。私自身、今は孤独な戦いをしているところもあるので、同じ志を持った仲間ができると心強いです。
具体的には、税務だけでなく、管理会計と仕組みで「現場を強く、楽しくする右腕」になりたいんです。出版・教育業界のネットワークを活かしたビジネスマッチングも可能ですし、稲盛哲学に基づいた組織づくりの支援もできます。
まずはイベントやオフィスで、ざっくばらんにお話ししましょう!等身大で、でも芯はぶらさずに、一緒に業界を盛り上げていければと思います。
先生のご紹介
吉條 嘉家 [KICHIJO YOSHIIE]
略歴:公認会計士、税理士。
1992年公認会計士試験合格後、監査法人トーマツ入所。父が創業したおもちゃメーカーの経営危機により家業参画、年商7000万円、借金2億円・債務超過7000万円の状況から年商13億円まで再建成功。その際、委託販売事業の全国展開でシステム開発力を培う。
プライム市場上場企業でのDX支援を経て独立。2024年11月税理士登録。現在は税務顧問とDXコンサルティングを両輪に、freee連携基幹システム開発から稲盛哲学に基づく組織づくりまで企業成長を総合支援。日本SDGs協会専務理事。
所在地:東京都小金井市東町5-11-14