植村 拓真

税理士法人植村会計事務所【公認会計士/税理士】植村 拓真

ITツールで未来を創る。「プロセスを楽しむ」——ゼロスタートから法人化へ駆け上がった若き税理士の軌跡

freeeに特化し、多数の顧問先を支援する、クラウド会計専門の精鋭チーム

—— まずは、現在の活動についてお聞かせください。

植村:私たちは、「クラウド会計freee」に特化した、プロフェッショナル集団です。
2025年7月には税理士法人化を果たし、現在は、豊富な経験を持つスタッフと共に、「ITの力で、バックオフィスをもっとスマートに」をモットーにお客様をサポートしています。
私たちの主なクライアントは、これから事業を大きくしていこうという、情熱あふれる起業家や、スタートアップ企業が中心です。

もちろん、中には創業40年以上の老舗企業様もいらっしゃいますが、皆様に共通しているのは、「ITツールを積極的に活用し、経営を効率化したい」という、前向きな姿勢です。

そのため、弊所のサポートを開始するタイミングで、会計ソフトをfreeeに切り替えていただくことを基本としており、その導入・移行作業も、私たちが責任を持って行います。

紙ベースでのやり取りを望まれる方よりも、クラウドツールを共に活用し、二人三脚で事業の成長を目指していけるお客様との間に、最高のパートナーシップが生まれると考えています。

大学受験の挫折がきっかけ。資格取得でのリベンジを誓った原点

—— この業界を目指されたきっかけは何だったのでしょうか?

植村:実は、私のキャリアの原点は、大学受験での「挫折」にあります。
第一志望の大学に合格できず、浪人するか、別の大学に進むか、という人生の岐路に立たされました。
その時、ふと「大学受験での失敗は、圧倒的な専門性で取り返せばいい。早く資格を取り、自分の足でキャリアを築くことこそが、本当の意味でのリベンジになるのではないか」と考えたのです。

そんな思いを抱えて大学に入り、この業界へ進むことを決定づけたのは、学内で開催された公認会計士のセミナーでした。
就職氷河期の終わりが見え始め、「むしろ、今がチャンスだ」という先輩の言葉や、「監査を通じて、あらゆる会社の舞台裏を見られるのは、何より面白い」という話に、強く惹きつけられました。

正直に言って、当時は「社会をこう変えたい」といった、壮大なビジョンがあったわけではありません。
自分の人生を、自分の力で切り拓いていきたい、という純粋な思いと、そのためのプロフェッショナルとしての「力」(と、それに見合う収入)が、何よりも魅力的だったのです。

—— 独立までのスピードが早かったように思いますが。

植村:学生時代の非常勤を含めて大手の監査法人で4年、その後中小の監査法人で1年の非常勤を経て独立しました。早く独立したかった、というよりは、自分の裁量と責任で、スピーディーに物事を進められる環境を、より強く求めていた、というのが正直なところです(笑)。独立当初は、本当にゼロからのスタートでしたね。

インタビューで、あなたの『価値』を届けませんか?

あなたの経験や専門性をを記事化し、ブランディング強化と人脈拡大に繋げます。
記事作成・掲載は無料。ふらっとがあなたの発信を全力でサポートします。

コミュニティーに参加しインタビューを受ける

自由の罠と採用の現実。手探りで築いた運営スタイル

—— 独立後、どのような課題に直面されましたか。

植村:独立して得た「自由」は、諸刃の剣でした。
誰からも管理されない環境では、自由と怠惰は紙一重で、ともすれば、一日中ネットサーフィンで過ごす、といったこともできてしまう。
しかし、それでは自己成長も、お客様への貢献もありません。本当の意味での「良い人生」とは、自由の中で、自らを律することなのだと痛感しました。

お客様とのアポイントメント、スタッフとの定例ミーティングといった「良い強制力」を、自らのスケジュールに意図的に組み込んでいく。
そうやって、自分自身で「外部環境」をデザインし、怠ける暇もないくらいに自分を追い込むことこそが、独立したプロフェッショナルが、常に成長し続けるための、唯一の方法なのだと気づきました。

—— 人材採用についてはいかがでしょうか。

植村:ここが、正直に申し上げて、独立以来、最も難しく、そして、今なお向き合い続けている課題です。
独立当初は、未経験の若手スタッフの採用と育成にも情熱を持って取り組んでいました。
しかし、残念ながら、当時は「人を育てる」ということの本当の重みを、私自身が理解しきれていなかった。その未熟さから、彼らのキャリアを長期的な視点で支えることができず、離職という、ほろ苦い経験もしました。

その経験から、まずは、事務所の基盤を固め、教育体制や評価制度をしっかりと構築し、誰もが安心して成長できる環境を整えることが先決だと、痛感したのです。
そのため、現在は、即戦力となる経験豊富なプロフェッショナルを中心に採用し、まずは組織としての安定と、サービスの品質向上を最優先しています。

もちろん、事務所の未来を創るのは、次代を担う若手の力に他なりません。
過去の経験から学んだことを糧に、現在は、経験豊富なメンバーが中心となって、若手の教育にも力を入れています。
「見て覚えろ」という旧来のスタイルではなく、誰が入ってきても、着実に、そして安心してプロフェッショナルへと成長できるような、再現性のある育成の仕組みを、今、まさに築き上げている段階です。

目標達成よりもプロセスを楽しむ。成長実感がもたらす充実感

—— 先生が大切にされている価値観について教えてください。

植村:「結果」ではなく、「プロセス」そのものを楽しむことです。
もちろん、目標達成は重要です。しかし、その目標に至るまでの道のりが、ただ辛く、苦しいだけの時間だとしたら、それは人生の大半を、不幸な状態で過ごしているのと同じことになってしまいます。
この考え方の原点は、私自身の公認会計士試験の経験にあります。
合格という遠い目標だけを見つめていると、心が折れそうになる。しかし、「昨日できなかった問題が、今日は解けるようになった」「先週は理解できなかった論点が、今はっきりと繋がった」という、日々の小さな「成長実感」こそが、何よりのモチベーションになりました。
目標にはまだ届いていなくても、そこに向かって成長している「状態」そのものが、すでに、楽しく、充実していたのです。
ビジネスも、人生も、これと同じだと考えています。
困難な挑戦のプロセス自体を楽しみ、そして、目標を達成した瞬間に、仲間と「やったぜ!」と、最高の喜びを分かち合う。
そんな、常に充実感に満ちた毎日を、自分自身も、そして、スタッフ全員と、共に創り上げていきたいと思っています。

—— その考えは、スタッフの方にも共有されているのでしょうか。

植村:はい、もちろんです。
私がスタッフに提供したいのは、単なる「職場」ではなく、「プロフェッショナルとして、日々、成長を実感できる舞台」です。
「昨日の自分より、今日の自分は、確実にレベルアップしている」。
スタッフ全員が、毎日そう胸を張って言えるような、そんな成長実感に満ちた環境を創ることが、経営者としての私の、最も重要な責務だと考えています。

AIの台頭により、会計業界は大きな変革期を迎えています。
しかし、私はこれをチャンスだと捉えています。単純な作業はAIに任せ、私たち人間は、「あなただからこそ、お願いしたい」と言われるような、血の通った、人間的な価値を、より一層追求していくべきなのです。
そのための学びや挑戦の機会は、惜しみなく提供していきます。

相続からM&Aまでのトータルサポートで描く将来像

—— 事務所の強みは何でしょうか。

植村:弊所の最大の強みは、私自身がネット系ビジネスのグロースを当事者として経験してきたため、そのビジネスモデルや特有のKPIを、肌感覚で深く理解している点です。また、ITツールを使った効率的なコミュニケーションも特徴ですね。まだ成長段階にある私たちと一緒に、二人三脚でグロースしていこうと思ってもらえる方とは特に相性が良いと思います。

—— 今後の取り組みや展望についてお聞かせください。

植村:まずは、相続案件の強化に本格的に着手します。
税理士法人として、お客様のライフステージ全体に寄り添うためには、事業の税務だけでなく、個人の資産承継まで、幅広く支援できる組織であることが不可欠だと考えているからです。法人のお客様が相続対策を考える時に、トータルでの税務面サポートが必要になってきます。弊所にも相続案件の対応ができるメンバーがいるので、準備が整ったらPRしていきたいです。

私たちが目指すのは、お客様の事業の「揺りかごから墓場まで」、あらゆる成長フェーズに寄り添える、真のパートナーです。
会社の設立(立ち上げ)という最初の瞬間から日々の成長(予算管理・月次決算)を支え、やがて来るIPO(上場支援)という大きな飛躍、そして、M&Aや事業承継といった、次の世代へのバトンタッチまで。
企業のライフサイクル全体を通じて、会計・税務の専門家として、常に最適なソリューションを提供できる組織でありたいと考えています。
創業間もないスタートアップ企業から、成熟期にある大規模なグループ企業まで、多様なクライアント様をサポートさせていただいた経験が、私たちの強みです。

多様な人との関わりが自分自身の器を広げる

—— 最後に、これから会計士・税理士を目指す方へメッセージをお願いします。

植村:この仕事の最大の魅力は、社会の縮図を、経営という最もダイナミックな断面から見ることができる点にあります。
IPOを目指し、急成長を遂げるスタートアップの熱気に触れる日もあれば、資金繰りに苦しみ、共に事業の再生を目指す、涙なしでは語れない日もあります。

こうした多様な企業の、あらゆる局面に関わることを通じて、会計スキルだけでなく、人間としての器そのものが、否応なく広がっていく。それが、この仕事の醍醐味です。

私たちは、「税務・会計」という、ビジネスの根幹をなす、揺るぎない専門性を軸としています。
その専門性をベースに、20代の若き起業家から、70代の熟練経営者まで、あらゆる世代のパートナーとして、価値を提供し続けることができます。

それは、キャリアを重ねるほどに深みを増す強みとなり、何より、「ありがとう」という言葉で、人から直接感謝される、大きなやりがいのある仕事です。

AIの進化は、私たちから単調な作業を奪い、むしろ、人間にしかできない、より本質的な仕事に集中させてくれる、最高の追い風です。
最終的に問われるのは、「あなただから、頼みたい」と言われるような、人間的な価値です。

このフィールドは、自分次第で、活躍の舞台を無限に広げられる、可能性に満ちた世界です。ぜひ、自信と誇りを持って、この道を目指していただきたいと思います。

先生のご紹介

植村 拓真 [UEMURA TAKUMA]
略歴:公認会計士・税理士。大学受験の挫折を機に会計士を志し、大手監査法人で4年間(学生時代非常勤含む)、中小監査法人で1年間非常勤を経験後独立。2025年に法人化し、多数の顧問先をサポート。freee特化でITツールを駆使した効率的な事務所運営が特徴。ネット系ビジネスに強みを持ち、スタートアップから大規模な企業まで幅広く対応。今後は相続・M&A支援の拡充を目指す。
所在地:東京都渋谷区道玄坂1-12-1
HP:https://bring-consulting.co.jp/