古川税理士事務所 藤井 岳
AIを味方にもっと「人が活きる」士業の形を——税理士を目指す若き挑戦者の軌跡
経営者と深く関わる仕事を求めてキャリアチェンジ
—— まず、税理士を目指したきっかけを教えてください。
藤井: もともとは全くの別業種にいました。ですが、昔から好奇心が強く「経営者の方と深く関われる仕事がしたい」と思っていたんです。経営に最も近く、数字から会社を支える職業を考えた時に「税理士」という選択肢に辿り着きました。
勉強を始めると「知れば知るほど面白い」と感じて。勉強が楽しく感じたこともあり「もう逃げ場をなくそう」と思い切って事務所に飛び込みました。今は30歳までの資格取得を目標に、実務と勉強の両立に励んでいます。
AIを味方に「お客様の気持ち」を理解できる力を磨く
—— 実務を始めて約1年経つそうですが、どんな変化を感じていますか?
藤井: 良かった点は、時間を自分で設計できるようになったことです。昼休みに筋トレをしたり、朝晩に勉強時間を確保したり。業務の中でもAIを活用することで、情報探索の効率が大きく上がりました。
一方で、一番苦労している点は「知識の壁」です。お客様からの質問ひとつとっても、経験の浅い僕には簡単ではない。だからこそ、「中途半端な回答はしない」と決めています。必ず一次情報まで辿って確認する。AIが引用する法令や通達をすべて自分で追い、自分の言葉で説明できるようにしてからお伝えするようにしています。
AIは“助けてくれる相棒”ではありますが、最終的に信頼されるのは「人」です。だからこそ、AIで得た情報を“自分の責任で語る”ことを大切にしています。
—— お客様から信頼を得るために、意識していることはありますか?
藤井: 一つは「正直さ」です。不正確な情報を伝えたら、経営判断に影響し、信頼を失います。だからこそ、分からないことは分からないと正直に伝え、正確に調べた上で答える。この誠実さが信頼の基盤だと思っています。
もう一つは「コミュニケーション力」です。お客様の悩みは税務だけに限らず、資金繰りや事業戦略、時には個人的な相談にまで及びます。そうした話をしてもらえる関係性を築けなければ、本質的な支援はできません。
僕は「会社の数字」だけでなく、「人の気持ち」も理解できる税理士を目指しています。
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生産性を高めて「人が活きる」士業の形をつくりたい
—— 業務でAIを活用されていると伺いました。具体的な成果はありますか?
藤井: 仕訳の自動化などを試行錯誤する中で、以前使っていた業務ツールの契約を見直せたんです。結果として、年間約180万円のコスト削減につながりました。AIを活用すれば、若手でも事務所の成長に直接寄与できる。これは自信にもなりました。
今後は、会計ソフトと連携して経営分析を行うAIツールの開発を進めています。事務所全体の生産性を高める仕組みを作ることで、「人がもっと創造的な業務に集中できる環境」を整えたいんです。
また、お客様支援の面では、設立間もないスタートアップへの「先回り支援」を強化しています。資金繰りマネージャーなど外部の専門家と連携し、僕自身は「信頼の入り口」としてコミュニケーションとデータ整備を担う。AIでスピードを、対話で信頼を、そして専門連携で成果を——そんな新しい士業の形をつくりたいと思っています。
工夫と探究でキャリアを切り拓こう
—— 最後に、同業の方やこれから税理士を目指す方へメッセージをお願いします。
藤井: この業界の仕事は、外から見ると「地味で単調」と思われがちです。でも実際は、工夫と探究の連続なんです。AIやツールを使えば効率化できるし、知識が増えるほど「この制度はなぜ生まれたんだろう?」といった背景が見えてくる。そこに「面白さ」があります。
従業員でも発想次第で事務所に貢献できるし、AIには代替できない「信頼関係」を築くこともできる。だからこそ、「どうすればこの仕事を楽しめるか」を常に考えてほしいです。きっと、それが自分の成長にもつながるはずです。
先生のご紹介
藤井 岳 [FUJII GAKU]
略歴:税理士を目指す事務所補助スタッフ。経営者と深く関われる仕事を求めて税理士を志し、一念発起して古川税理士事務所に転職。入所後は、単なる作業ではなくお客様と向き合い「仕組み化」を考えることの重要性を実感。コミュニケーション能力の向上に力を入れ、お客様との信頼関係構築を重視。AIを活用した経費削減や業務効率化に強みを持つ。
所在地:大阪府大阪市淀川区宮原4丁目4-64新大阪千代田ビル4階
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