松本功太郎会計事務所【税理士】松本 功太郎
「努力が報われる場所へ」税務職員からキャリアチェンジした税理士の歩み
父の背中を追うように、税務職員から税理士へ
—— まずは税理士を目指されたきっかけをお聞かせください。
松本: 最初のきっかけは、父が税務職員だったことです。父は資産課税部門で相続税を中心に担当していて、私も自然と同じ道を志し、税務署に入りました。税務調査を経験する中で税理士という仕事を知ったのが第一歩ですね。
その後、父は相続専門の税理士になりました。その父から「後継者を探している税理士の先生がいる」という話を聞き、税理士の資格を取れば、その事務所に入れるかもしれないという道ができたんです。それがきっかけとなり、30歳の頃に一念発起し、税理士を目指し始めました。
—— 働きながら、勉強を進められたんでしょうか?
松本:はい。専門学校に通いながら勉強しましたが、当時の国税局での勤務は激務(ブラック企業ご経験の方からすると鼻で笑われるかもしれませんが・・・)で、一度目の受験は不合格でした。忙しさに押され、勉強時間もなかなか確保できず。ただ、その後、比較的落ち着いた部署に異動になり、勉強できる環境を整えることができました。ただ、 勉強できる環境が整ったとはいえ、当時は休日にも仕事が入る役職に就いており、勉強が計画通りに進まないことが多くて模試の成績が悪い時期が長かったため「こんなに辛いならもう逃げ出してしまいたい」という思いもありました。
—— 勉強のモチベーションはどこにあったのでしょうか?
松本:「努力した結果、誰かに感謝される仕事をしたい」「努力が明確に数字として、自分に直結する場所で頑張りたい」という気持ちです。税務調査は基本的に「頑張れば頑張るほど納税者から嫌われる」仕事であると思います。国の税制のためには当然必要ですし、誰かが担わなければならないですが、自分には精神的に負担が大きかったです。また、例えば「これだけ頑張ったから給料がいくら増える」といったことは難しいですし、素敵な上司や先輩ばかりと働けるわけではありません。その点に関しては組織である以上仕方のないことだと思いますが、自分でコントロールできないものに不満を漏らす人生よりも、環境を変えて自分で挑戦できる人生の方が良いと感じたため、必死に勉強に取り組みました。
「プレイヤー」と「マネージャー」兼務のキャパオーバー
—— 無事に合格後、事務所を引き継がれて、直面した壁は何でしたか?
松本: 最大の課題は「プレイヤー」と「マネージャー」の兼務によるキャパオーバーでしたね。営業活動や新しい取り組みを進めたいのに、目の前の業務に追われ、時間が足りない。経験値や知識の不足も痛感しました。
—— 新しい挑戦と日々の業務のバランスが難しかった、ということでしょうか?
松本: そうですね。ただ、経験や知識不足は、他の先生からお知恵を借りたり、最新ツールを導入したりすることで補えます。しかし、自分自身の健康と時間的なゆとりの確保は喫緊の課題です。自分が倒れたら事務所全体に影響が出ますから。
「ありがとう」が生む仕事のやりがいと父を超える目標
—— 役割の兼務で大変な中、やりがいを感じるのはどんな時でしょうか?
松本: お客様から「ありがとう」と感謝の言葉をいただける時です。税務署時代は、いくら頑張っても嫌われることがありましたから(笑)。今は、全力を尽くして感謝されることが、心から嬉しいです。
また、お客様の売上アップにつながる提案ができた時も大きなやりがいを感じます。税理士の仕事は「税金の計算」だけではなく、喜ばれる価値を生む仕事でもあると実感しています。
—— 事務所としての将来のビジョンについてもお聞かせください。
松本:まずは父の事務所の売上を超えることを目標としています。父は相続税専門のベテラン税理士ですが、父の能力・経験ありきの事務所であるため、寿命を削りながら休みなく働いている印象です。父の事務所の売上を超えて「もう大丈夫だよ」と声をかけてあげたいです。また、今の私の業務は経理がメインですが、相続税関連の勉強や業務もこなして、仕事の面でも父の負担を軽くできるようにしていきたいですね。
そして、長期的には、「税務署OBとしての経験」と「最新のITツールに敏感」という強みを活かし、経営者と長く寄り添い、お客様の「持続可能な幸せ」をサポートできる事務所にしていきたいと考えています。
同業と、気軽に悩みを相談し合える関係性を築きたい
—— 最後に、これから税理士を目指す方や同業の先生方へメッセージをお願いします。
松本:まず、これから税理士を目指す方へ。私自身の経験から言えるのは、勉強時間を確保することが何より大切ということ。時間を確保できなければ、なかなか良い結果につながりません。税理士の仕事は、困っている経営者の方に心から喜んでいただける素晴らしい仕事だと実感しています。勉強はとても苦しいと思いますが、その先には自分次第で切り開くことができる明るい未来が待っていますし、苦しい経験がその先の困難を乗り越えるための原動力になりうると思いますので、どうか負けずに頑張ってください!
同業の先生方とは、気軽に悩みを相談し合えるような関係性を築きたいと思っています。「これってどうしてますか?」とフラットに話し合えるコミュニティがあれば、すごく心強いですよね。どうぞお気軽にお声がけください。
先生のご紹介
松本 功太郎 [MATSUMOTO KOTARO]
略歴:税理士。父が税務職員だった影響で税務署に勤務し、調査業務を通じて税理士の仕事を知る。公務員時代の激務や環境を背景に「努力が正当に評価される仕事」を求め、30歳頃から猛勉強を重ね、合格。後継者を探していた事務所を引き継ぎ、税務署OBならではの経験と若さを強みに、ITツールも活用し、経営者に寄り添い続ける税理士を目指す。
所在地:福岡県北九州市八幡西区相生町14-15-202号