市川秀税理士事務所【税理士】市川 秀
現場感覚とAI活用で切り拓く「薬局専門税理士」の道
薬剤師資格を持つ異色の税理士となった背景
—— まずは、現在の活動についてお聞かせください。
市川: 私は現在、薬局に特化した税務顧問とM&A仲介を中心に活動しています。実は薬剤師資格を持ち、今も調剤の現場に立っています。その経験を活かし、「薬局経営者の気持ちを本当に理解できる税理士」としてサポートを行っています。
相続や他業種の顧問、給与計算などは一切受けていません。逆に注力しているのは薬局特化の税務顧問、M&A、資金調達支援です。特に薬局業界はM&Aが盛んで、そこが大きな柱になっています。
—— なぜ薬局専門を選ばれたのでしょうか?
市川: 大手税理士法人で医療系チームにいた頃、先輩方が薬局を「数字だけ」で語っていたことに違和感を覚えました。「薬局は高く売れるからいいよね」と言われたとき、患者さんや経営者の現実を理解していないと痛感しました。
一方で、父が薬局経営をしており、「税理士さんのおかげで今がある」と感謝している姿を見てきました。「薬局経営に理解のある税理士」と「現場を知らない税理士」とのギャップが、私をこの道へ突き動かしました。「誰もやらないなら自分がやる」という使命感です。
独立直後に突き当たった「ひとり経営」の壁
—— 実際に独立されてみていかがでしたか?
市川: 軽い気持ちで税理士を目指し、独立したのが「運の尽き」でした(笑)。独立直後に痛感したのは「一人では何もできない」ということです。総務やバックオフィス業務をすべて自分でこなし、謝罪の電話をする日もありました。「組織に守られていたんだ」と思い知らされましたね。
—— 今は体制をどうされているのでしょうか?
市川: 外部スタッフに一部を依頼していますが、現状の23社が限界だと感じています。最終的には60〜80社を目標にしていますが、そのためには「総務や管理業務の自動化」が不可欠です。
そこで、Google Workspaceを導入し、Apps Scriptで顧客への自動リマインドの実装を予定しています。定型業務から解放され、付加価値の高い支援に集中できると考えています。
AI時代にこそ活きる「現場目線」と「人との深い繋がり」
—— 今後の展望をお聞かせください。
市川: 大規模な組織化は考えていません。私一人で対応できる範囲に留めつつ、薬局経営の知見をパッケージ化して販売したり、他の税理士向けに勉強会やコミュニティを作ったりして業界全体に広げたいと思っています。
また、SNSでの発信はX(旧:Twitter)だけでなく、YouTubeショートやInstagramで動画を強化する予定です。薬局業界と親和性の高い女性層へのリーチを狙い、人柄を伝えることで信頼の導線にしたいです。
—— 現場を知る税理士ならではの視点ですね
市川: 実は、私の面談成約率は、ほぼ100%なんですが、薬局経営者が本当に求めているのは「数字の処理」ではなく「自分の苦労を分かってくれる人かどうか」だと感じています。AI時代に税理士が生き残るには、AIにはできない「人との深い繋がり」こそ武器です。
合理的な判断はAIが得意ですが、「この人だから」と選ばれる関係性はAIには作れません。税理士への信頼感こそ、最大の商品価値になる。私は現場目線にこだわり、人としての信頼を築くことで業界に貢献していきます。
「人生」の中にこそ、あなたの武器が眠っている
—— 最後に読者へのメッセージをお願いします。
市川: 税理士としての「武器」は、会計や税務の知識そのものではなく、あなた自身の人生の中に眠っています。私にとっては薬剤師の経験でしたが、人によっては前職や趣味かもしれません。
AI時代に求められるのは「誰にも負けない尖った強み」を掘り起こし、それをどう発信していくかです。それこそが、お客様に選ばれ、自分自身も楽しく働き続けるための道だと信じています。
先生のご紹介
市川 秀 [ICHIKAWA SHU]
略歴:税理士・薬剤師。薬剤師資格取得後、働きながら税理士資格を取得。父親の薬局経営を通じて税理士の仕事に関心を持つ。大手税理士法人で医療系のチームに所属した際、数字偏重の姿勢に疑問を抱き、独立。「現場を理解する税理士」として、現在も調剤業務を続けながら、薬局業界の経営者の立場に立ってサポート。薬局に特化した税務顧問・M&A仲介・融資支援などに強みを持つ。
所在地:東京都日野市旭が丘1-7-3 グロリー旭ヶ丘102