笹島 良太

株式会社ManagementGym【公認会計士/税理士】笹島 良太

家業を継いで3代目となった公認会計士の軌跡

監査法人での顧客対応経験が、公認会計士としての原点

——まずは、公認会計士を目指されたきっかけをお聞かせいただけますか?

笹島: 高校が大学の附属校だったこともあり、その大学といえば法学部というイメージがあったので法学部に入学し、「弁護士になろうかな」と思っていたのですが、実際に憲法の授業を受けてみると「これは違うな」と。

父と祖父が税理士だったこともあり、身近な資格といえば税理士だったのですが、当時お付き合いしていた彼女と結婚するためには「とりあえず手に職をつけよう」と思って調べてみたところ、公認会計士になれば、税理士登録もできることがわかり「会計士を目指してみよう」と。

合格後、ご縁があってPwC京都監査法人(現:「PwCJapan監査法人」)に入所しました。そこで徹底的に叩き込まれたのが「監査報告書1枚に10億円の付加価値を生み出すにはどうすればいいか」でした。

——10億円の価値ですか!

笹島: はい。大手のクライアントだと、グループでの監査報酬が10億円規模になることもあるのですが、監査報告書はたった1枚。経営者からしたら「10億円も払って紙1枚か」となりますよね?

そのため、形式的なチェックだけではなく、積極的に社内に入り込んで問題提起をする。社員の方々と密にコミュニケーションを取り、経営者の方とディスカッションを重ね、会社をより良くするためのお手伝いをする。それが監査法人が提供すべき「付加価値」だと。監査法人には10年ほど勤めましたが、その経験は、今の自分の仕事の原点となっています。

祖父の言葉を思い出し、家業の事務所を承継

—— 監査法人でのキャリアは順調だったようですが、なぜ家業を継ぐことにしたのでしょうか?

笹島: 監査法人でシニアマネージャーまで務めたのですが、次の職階に上がると転職・独立するという選択が難しくなるなと感じていました。いつか、独立して社長になりたいという気持ちもあったので今後の進路について真面目に考えました。

そんな時、子どもの頃から祖父から聞かされていた「それぞれで事務所を構えて、いつか3世代の事務所を統合して大きくしよう」という言葉が頭をよぎったんです。祖父から受け継いだ父の事務所は縮小していく一方だと聞いていたので 「このタイミングを逃したらもう二度と機会はない」と思い、父に相談しました。「もし、入所してくれたら助かる」と言ってもらったので、「家業を成長させるため一緒に頑張ろう」と入所することを決めました。

——公認会計士として大企業を顧客としてきた中、中小企業の顧客が多い事務所に入られ、「カルチャーショック」はありませんでしたか?

笹島: 物凄くありました笑。まず、クライアントでいうと監査法人時代は100点を基準に評価して、足りないところを提案する形でしたが、中小企業の多くは、赤点を40点とすると10点、20点で、まず赤点をとらないことを目指す段階でした。

事務所の仕事の進め方は遅れているだろうなと思っていましたが、完全オフラインかつやり取りが電話・FAXが多く、令和の企業から平成ではなく、昭和の事務所に来た気がしました。

税務の経験はないものの「お客様の成長」を第一に「どうすれば良くなるか」を考え提案する私に対し、父は税務経験のない私を中々認めることができず、さらに「今あるものを守る」という考えが根強く、意見を言うと「口ごたえしている」と捉えられてしまう状況だったので、このままではいけないと焦りつつ、「自分がやりたいこと」と「現実」の間で葛藤する日々でした。

街の事務所を「経営者のパーソナルジム」へ

——その後「Management Gym」というコンセプトで一新した印象ですが?

笹島:そうですね。 事業の内部に深く入り込み、本質的な課題を解決していきたいと思っていたのですが、「コンサル」という言葉が個人的にあまり好きではなくてこの事業自体を自分も通っている「パーソナルトレーニングジム」に例えることにしたんです。

私たちは、税務申告だけを代行するのではなく、お客様の「経営のパーソナルトレーナー」として、成長をサポートしていきたい、と。

まずは「会社の現状を正確かつスピーディーは会計への反映すること」、「会計と向き合う習慣づくり」からお手伝いをします。たとえば、定期会議に同席させていただき、経営者の方に数字への興味を持ってもらう。数字から課題を見つけ出し、解決策を一緒に考える。そうすることで、「自走できる会社」を1社でも増やして日本を元気にすることを目指しています。

——最後に、読者へのメッセージをお願いします。

笹島: 監査法人での経験、家業に入ってからの葛藤。この4年間で、私は本当に多くのことを経験しました。そして、そのすべての経験が、今の私の強みになっていると実感しています。 

「二代目、三代目だから」という理由で家業を継ぐことに悩んでいる方もいれば、現状維持に甘んじてしまっている方もいるかもしれません。でも、このままではいけないと感じているのなら、新しい可能性を試してほしいと思います。アプローチこそ違うかもしれませんが、ぜひ一緒に中小企業を成長させ、日本を元気にしていきましょう!

先生のご紹介

笹島 良太 [SASAJIMA RYOTA]
公認会計士・税理士。大学卒業後、大手監査法人で主に上場企業の監査業務に従事。祖父の言葉を胸に家業の事務所に入所。「全従業員の物心両面の幸せを追求すると同時に中小企業経営者のパーソナルトレーナーとしてその進歩発展に寄与する」を目標に「人として何が正しいか」を判断基準として運営し、経営者の成長を支援する「経営のパーソナルトレーナー」として活動中。
所在地:東京都港区赤坂9丁目1番7号
HP:https://management-gym.com/