
税理士法人Grow UP【税理士】越智 崇実史
積み重ねる「探索」から未来を描く──税理士としての成長と事務所経営のリアル
フリー株式会社が主催する士業に関わるすべての人たちが集まる、年に一度の日本最大級イベント「freee Advisor Day 2025(略して、fAD2025)」の特別プロモーション連動企画として、ふらっとがコラボさせていただくことになりました。
本イベントのテーマは「探索」。ユーザーと“ともに未来の可能性を探索し続ける場”として開催されます。
士業の皆さんが日々、どのように課題と向き合い、業務や組織のアップデートを実現しているのか。
ふらっとでは、そのプロセスを“探索の軌跡”として掘り下げるインタビュー企画として、今回、税理士法人Grow UP 越智 崇実史 氏に取材しました!
曖昧な出発点から見つけた税理士としての道
── 税理士を目指すようになったきっかけを教えてください。
越智: 小学生の頃から、なんとなく「弁護士とか、資格を取って稼ぐ仕事がいいな」と思っていました。そんな中、父から「お前は経営者に向いてる」と言われたんです。その一言が、数字が得意な自分にとって、税理士という選択肢を意識するきっかけになりました。
── 学生時代から税理士の道にスムーズに進めた、ということでしょうか?
越智: スムーズ・・ということはなかったです。学生時代は英語や暗記科目に苦戦しましたが、数字だけはなんとなく理解が早かったなという感じです。大学4年で簿記2級を取って、専門学校・大学院と経て、1年に1教科ずつ3年かけて資格を取りました。
滋賀県での独立
── 独立は、どのような流れでされたのでしょうか?
越智: まずは京都にある事務所で修行を積んだ後に独立・開業しました。独立時に一つだけ意識していたことは「売上が作れそうな場所で開業をすること」です。当時、大阪や京都では強力なホームページが多く、既に競争が激しかったので、「無名の創業税理士が参入しても勝ち目がない」と感じて、地方での開業を選択しました。
人口が増えており、WEB集客に力を入れている事務所が比較的少ないエリア。これが開業エリア選択の私の中での条件でした。幸いにも、立命館大学時代を過ごした滋賀県の草津市がこの条件に合致していたため、地元と呼べるほどの土地勘はありませんでしたが、思い切ってここで開業することにしました。
── 実際に滋賀を拠点にしてみて、どうでしたか?
越智: この地域内で未来についてのセミナーをしているところがないため、サービスの差別化を図りやすく、若いお客様との信頼関係が築きやすかったです。あとは、子育てしながら、家庭でも働きやすい環境を整えていることで「女性の働きやすさ 滋賀でNo.1」という認知も獲得できてきており、採用には月1万円程度しかけていないにも関わらず、パートの募集に20~30名の申し込みがあります。
時代の変化に合わせてクラウド会計に切り替える「探索」
──最近、挑戦として会計ソフトをクラウド会計のfreeeに切り替えた、ということですが。
越智:はい。AIの進化を見て「今後、業界は変わる」と感じ、freeeに切り替えました。従来の会計ソフトより、freeeの“攻めの姿勢”が今の時代に合っていると判断したからです。
── 事務所内の反応はいかがでしたか?
越智: 抵抗はあるだろうと思って、変化に柔軟なメンバーにまず使ってもらい、ポジティブな空気を広めました。また、自社に向けた資料を作成して、「なぜ、いまクラウド会計に切り替えるのか」等、今後の事務所の展望も踏まえ理解を深めてもらいました。
顧客に対しても、記帳代行の方から切り替え、自計化の方には提案ベースで対応しています。
freeeは正直、慣れてない分「使いにくい」と感じています(笑)。でも、スマホも最初はそうだった。だから、今は「探索」期間だと思って、地道に慣れていくつもりです。
地域で一番働きやすい税理士法人を目指して
── 税理士事務所の組織づくりで重視していることはありますか?
越智: 一番は「一緒に働いてくれる仲間が誇れる職場であること」そして皆が「ここに必要とされている」と感じられる環境づくりを重視しています。
──それが事務所の「働きやすさ」や「定着率」に繋がっているのですね。
越智: そうですね。地域で一番働きやすい税理士法人を目指しています。
「探索」の幅を広げることが、事務所の強みをつくる
── 事務所の強みはどこにあると感じますか?
越智: 中期経営計画のセミナーを自社開催している点ですね。過去ではなく未来の数字を見て、一緒に道筋を描く。これは私たちの提案力の象徴です。
── なるほど。その提案力は、どのように獲得したのでしょうか?
越智: 最初の10年は誰にも頼らず、本など独学で採用もマーケティングも組織づくりもやってきました。そこから知識を持ったうえで様々なイベント等にも参加し始めてから、人に会い、話すことで、本からは得られない生きた情報や気づきが得られるようになりました。自分自身の足を運んで得る情報や経験から、多岐にわたる提案をできるよう常に意識しています。
freee Advisor Dayに期待する「想像を超える出会い」
── freee Advisor Dayへの期待は?
越智: 今回が初参加です。実は、今までセミナーなどにあまり参加しなかったんです。でも、導入を一緒に進めてくれている職員が「行きたい」と言ってくれて、3人で行くことにしました。 X.comで活発に発信している税理士の方々を見て、「現場ではこういう人たちが動かしているんだ」と感じていました。
だから今回は、そんな現場の空気を肌で感じたい。freeeには「いい意味で、期待を裏切ってほしい」と思っています。
── 最後に、読者にメッセージをお願いします。
越智: 決して順風満帆ではなかったけれど、「小さく積み重ねていく」ことでここまで来られたんです。
税理士・会計士の仕事は、まさに積み重ねの連続です。自分に合ったやり方を探りながら、「こういう形もアリだな」と思えるようになると、仕事が一気に面白くなる。自分の中の「正解」を、少しずつ「探索」していってください。
先生のご紹介
越智 崇実史 [OCHI TAKAMICHI]
略歴:大学卒業後、簿記2級を取得し専門学校へ。その後、大学院に進学し、税理士資格を3年間で取得。京都にある税理士事務所で約5年間勤務後、29歳で独立開業。開業から10年間、独力で事務所運営。4年前から京都大学のEMBAに通い、多様な視点の幅を広げる。
現在は滋賀県で地域トップクラスの「働きやすい税理士事務所」を目指して組織作りを実践し、毎回、20〜30名応募がある。
中期経営計画の自社開催セミナーを実施するなど、過去会計だけでなく未来志向のサポートに注力する。
所在地:滋賀県草津市西大路町6-2
HP:https://growup-tax.com/