
西村税理士事務所【税理士】西村 真衣
「できること」を探索し、唯一無二の強みへ――女性起業家を導く税理士・西村真衣の挑戦
フリー株式会社が主催する士業に関わるすべての人たちが集まる、年に一度の日本最大級イベント「freee Advisor Day 2025(略して、fAD2025)」の特別プロモーション連動企画として、ふらっとがコラボさせていただくことになりました。
本イベントのテーマは「探索」。ユーザーと“ともに未来の可能性を探索し続ける場”として開催されます。
士業の皆さんが日々、どのように課題と向き合い、業務や組織のアップデートを実現しているのか。
ふらっとでは、そのプロセスを“探索の軌跡”として掘り下げるインタビュー企画として、今回、西村税理士事務所 西村 真衣 氏に取材しました!
原点は、12歳で感じた“経済的自立”の必要性
── 税理士を目指されたきっかけを教えてください。
西村: 税理士を目指したきっかけは、12歳の時に「自分で生きていく力が必要だ」と感じたことです。私はいわゆるお嬢様育ちで、祖父も父も税理士という環境で何不自由なく暮らしていました。ただ、その中で小学6年のとき父が体調を崩して、何度も入退院を繰り返すようになったんです。
母が「もしものときは私が働く」と言ってくれたけれど、専業主婦だった母が急に父と同じように家族を支えられるとは思えませんでした。その時に経済的に一家が一人の稼ぎに依存している脆さを強烈に感じて「誰かに頼るのではなく、自分で稼げる力を持たないと」と思ったのが、今に繋がっています。
「自分で決められる環境を」――あえて選んだ独立の道
── ご実家の事務所を継ぐ選択肢もあったと思いますが、なぜ独立を考えたのでしょうか?
西村: 父の事務所は歴史がありましたが、どうしても新しいことを受け入れてもらえない雰囲気がありました。たとえばクラウド会計やオンライン会議ツールの活用を提案しても「それ必要?」で終わってしまう。
私は「小さな事務所こそスピード感が命」と思っているので、意思決定が止まるのがすごくもどかしかった。自分で全部決めて、お客様のために最善の選択ができる環境が欲しくて、独立を決めました。
「実践」が信頼を生む――SNS活用支援という新領域へ
── 特に注力されている取り組みは、何でしょうか?
西村:「実践しているから伝えられる」という価値観を大切にしています。たとえば、税理士向けのSNS活用支援は、自分自身が運用に取り組み、効果を実感したからこそ始めました。
法人設立時の「代表者住所の非公開制度」が始まった直後に自ら法人を立ち上げたのですが、銀行口座開設で思わぬ壁にぶつかったんです。その経験をリアルタイムでSNSに投稿すると、多くの女性経営者の方々から「参考になった」と反響がありました。とくに女性にとって住所の公開は大きな不安材料なので、自分の体験が役立ったのは嬉しかったですね。
できないことだらけの中で「今、できること」を探す
── 特に苦労した点は何ですか?
西村:独立したのがコロナ禍で、しかも下の子はまだ小学生。営業活動も自由にできないし、家庭との両立も厳しい。正直、できないことばかりでした。
でも、だからこそ「今、できること」に目を向けたんです。そのひとつがSNS。そして、自分と同じライフステージで働いているママ起業家をターゲットにしました。彼女たちの時間感覚や制約を、自分ごととして理解できる。それが自然と信頼につながっていったと思います。
8割が女性経営者――ニーズに寄り添う税理士へ
── 今の顧問先は、8割が女性経営者とのことですね。
西村:はい、美容師さんやエステ経営者、オンライン秘書や動画編集スクールを運営されている方など、幅広くサポートしています。共通しているのは、みなさん「自分の力で前に進もう」としていることです。
最近は「介護美容研究所」というスクールで、独立を目指す美容師さん、介護士さん等に税務セミナーを行う機会もあり、開業から法人化まで一貫してサポートさせていただいています。こうした繋がりの中で、女性の挑戦を応援し、ともに成長していくのが私の仕事のやりがいです。
信念は「続けること」と「自分に嘘をつかないこと」
── 事務所経営の際、大切にされている価値観を教えてください。
西村: 私が一番大事にしているのは「続ける」ということです。税理士試験にも10年かかりましたが、途中で辞めませんでした。キックボクシングもパーソナルトレーニングもずっと続けています。続けているうちに信頼が積み重なり、形になると実感しています。
もう一つ大切にしているのは、「自分に嘘をつかない」ことです。ガンジーの「幸福とは、自分が考えること、語ること、行うことが調和している状態である」という言葉がすごく好きなんです。私は、心から応援できる人とだけ関わりたいし、嘘のないサポートをしたい。そこはこれからもブレないようにしていきたいです。
すべての人に「今、できること」がある
── 最後に、読者へメッセージをお願いします。
西村: 私の独立開業はゼロからのスタートで、子育て、コロナ、限られた時間――できない理由は山ほどありました。でも「今、できることは何か?」を探索していった結果、自分の強みになるものが見つかりました。
環境や状況は人それぞれ違います。でも、どんな人にも「今、できること」は必ずある。できることを探すところから、すべては始まると思うんです。自分には何もないなんて思わずに、まずは一歩を踏み出してみてください。
その一歩を、私たち税理士が一緒に支えていける。そんな仲間に、fAD(freee Advisor Day)で出会えたら嬉しいです。
先生のご紹介
西村 真衣 [NISHIMURA MAI]
略歴:税理士。祖父・父が税理士という環境で育ち、12歳で経済的自立の重要性を痛感。コロナ禍、子育てと両立しながら「自分で意思決定できる環境」を求め独立。「今、できること」に注力し、SNS活用支援を開始。自身の経験を発信し、女性経営者からの信頼を得て現在、顧問先の8割が女性経営者に。信念は「続ける」と「自分に嘘をつかない」。
所在地:大阪市中央区船場中央2-1 船場センタービル4号館323
HP:https://nishimuramai.hp.peraichi.com/