鈴木政明公認会計士税理士事務所【公認会計士/税理士】鈴木政明
「監査の目」から「経営の伴走者」へ——3社のIPOを支えた公認会計士が歩む、税理士としての新境地
2026-08-10
キャリアの原点は、自由な働き方への憧れ
——まずは、公認会計士を目指されたきっかけをお聞かせください。
鈴木:大学時代では、水上スキー部に所属し、日々練習に明け暮れていました。水上スキーを社会人になっても続けたいと考えた時、海外の選手や周囲を見渡すと、自分のペースで時間をコントロールしながら経営や社長業を行っている方や「CPA(公認会計士)」の資格を持つ人が結構多かったんです。
当時はまだ学生でしたから、「この資格があれば、将来的に自由な時間を持って、自分のペースで仕事ができるのではないか」という漠然とした憧れを抱いたのが最初のきっかけですね。
——そこから、資格取得への決意がさらに固まった出来事はありましたか?
鈴木:受験勉強を続ける中で、大原やTACの講師の方々から、会計士の具体的な仕事内容を聞く機会がありました。「IPO(新規上場)の準備段階から、会社の経営者と二人三脚で上場のお手伝いができる仕事だ」と知った時、胸が熱くなりましたね。単に数字を扱うだけでなく、経営者の大勝負に深く関われる。その社会的意義の大きさに強く惹かれ、何が何でも合格するという強い原動力に変わっていきました。
監査法人でのリアルなギャップと、独立後に背負う「責任」の本質
——念願の資格を取得され、監査法人に入所されてからのキャリアはいかがでしたか?
鈴木:正直なところ、思ったよりも地味な仕事が多いなというのが最初の印象でした(笑)。入所前は、もっと華やかにデータを考察し、未来を推測しながらアドバイスを行うような業務を想像していたんです。しかし実際は、過去の確定した数字に対して、膨大な証憑資料を一つひとつ突き合わせて検証していく、極めて緻密で地道な作業の連続でした。ここで「信頼性の高い数字を担保する」という会計の基礎体力を徹底的に叩き込まれましたね。
——その後、転職を経て念願の独立を果たされたわけですが、組織を離れてみてどのような変化を感じましたか?
鈴木:最も大きく変わったのは「責任の重み」です。監査法人時代は、自分の上にパートナーを始めとする多くの上司がいて、最終的な組織としての盾がありました。しかし、独立してからは、クライアントに提供するものすべての責任をダイレクトに自分が負うことになります。休日の間も常に仕事やお客様のことが頭の片隅にあるような感覚です。
その一方で、当初目指していた「時間の自由」も実感しています。裁量の幅がすべて自分にある分、時間の使い方は非常に自由になりました。自分でスケジュールをコントロールし、自分が本当に支援したいと思える形でお客様と向き合える。責任の重さと引き換えに、大きなやりがいと自由を手に入れることができたと感じています。
「批判」から「伴走」へ。税理士登録という大きなパラダイムシフト
——独立後は税理士登録もされていますが、公認会計士の業務と税理士の業務を両方経験される中で、どのような気づきがありましたか?
鈴木:ここがキャリア最大の転換点で、一言で言えば、心の持ち方が「批判的な視点」から「伴走型の視点」へ180度変わりました。会計士の監査業務は、成果物を厳しい目でチェックし検証することが求められるため、どうしてもクライアントと「対立関係」に近い状態になります。独立性の観点から、経営への直接的な助言もできません。
一方、税理士として中小企業の経営者と向き合うと、景色が全く変わりました。同じ目線で未来を見据え、税務だけでなく資金繰りや補助金活用など、経営者が孤独に悩む領域に踏み込んで一緒に課題を解決していく。これこそが、自分が本当にやりたかった経営者支援の形だと確信しました。
——監査の頭から税務の頭への切り替えには、さまざまな試行錯誤があったのではないでしょうか?
鈴木:非常に苦労しました。ずっと監査の世界にいたため、開業当初は税務の実務や中小企業の泥臭い経営課題へのノウハウが十分ではなく、「本当の価値を提供できない」と強い危機感を抱いたんです。
そこで、土台作りのためにTKCのコミュニティに自らアプローチしました。そこには「客数が増えない」「雇用や複雑な税務処理をどうすべきか」といった、同じ壁にぶつかる仲間が全国から集まっていました。毎月リアルな悩みを共有し、先輩方の知見やノウハウを学びながら解決策を見出していく。孤独な試行錯誤の中で、この圧倒的なバックアップと仲間の存在は、本当に心強い支えになりました。
税理士・会計士のためのコミュニティ「ふらっと」
互いの得意分野を活かした協業のきっかけや、業界の最新トレンドが集まるコミュニティです。
ぜひお気軽にご参加ください。
3社を上場へ導いた「IPO支援」という圧倒的な武器
——同業者である税理士の先生方からのご紹介も非常に多いようですね。先生ならではの「強み」はどこにあるのでしょうか?
鈴木:私の一番の強みは、「上場準備(IPO支援)」や「内部統制」に関するアドバイス、そして監査対応の領域です。これまでに公認会計士として3社の上場準備からIPO実現まで深く関与した実績に基づき、企業が成長して一般的な「税務会計」から、投資家向けの「財務会計」へシフトする際に突き当たる、巨大な壁へのアドバイスが可能です。
例えば、税効果会計や減損会計への対応など、追加で必要となる高度な資料作成やロジック構築を適切に助言できます。また、販売プロセスや購買プロセスにおける承認権限の設計など、内部管理体制が未整備の会社さんも多いので、そこを丁寧に紐解き、監査法人や証券会社が納得するレベルまで組織をブラッシュアップするお手伝いが可能です。
——同業の先生方にとっても、鈴木先生のような専門家が近くにいると心強いですね。
鈴木:そう言っていただけると嬉しいです。大手コンサルティング会社に頼むと膨大なコストがかかりますが、私の事務所であれば、より距離の近い、実務に即した柔軟なサポートが可能です。
また、IPOを目指す中で「経理リソースの不足」という壁にぶつかる経営者を多く見てきました。要求レベルが急激に上がるため、既存の担当者がついていけずに辞めてしまうケースも少なくありません。監査法人の立場では手出しできませんでしたが、今の税理士という立場であれば、実務のバックアップや経理担当者の育成も含め、経営者を全面的に守ることができます。これこそが、私の持つ武器の中小企業への還元方法だと考えています。
テクノロジーを相棒にする。少数精鋭で築く次世代の事務所像
——今後の事務所の展望についてお聞かせください。
鈴木:以前は「人を多く雇い、事務所を大きくしなければ」という固定観念がありました。しかし近年のAIの進化を目の当たりにし、考えがガラリと変わったんです。従来の「記帳代行」のような入力作業は近い将来自動化され、業務自体の価値は消えていくでしょう。
だからこそ、過度な規模拡大は目指しません。現在は「Claude(クロード)」などのAIツールを日常的に駆使しています。事務作業はテクノロジーに任せ、経験豊富な公認会計士・税理士である私自身が直接クライアントの元へ赴き、対話を通じて高い付加価値を提供する。この少数精鋭の形こそが、これからの時代に求められる強靭な事務所のあり方だと確信しています。
——AIを使いこなすことに、抵抗や不安はありましたか?
鈴木:全くありませんでした。「どう使えばいいか」を悩んで情報収集に時間を費やすくらいなら、まずは自分で触って、AIに直接「どうすればいい?」と聞いてしまった方が圧倒的に早いです。AIは怖がる対象ではなく、こちらが対話を重ねて「育てる相棒」のような存在。音声入力だけで複雑なデータ入力が完了するような時代が、もうすぐそこまで来ています。
お互いの得意分野を活かし合いながら、共に成長したい
——最後に、この記事の読者へ向けてメッセージをお願いします。
鈴木:私自身、今でも「お客様の本質的なニーズを100%汲み取れているだろうか」と、日々自問自答し、自分の実力を上げるためのインプットを続けています。経営者が求めているのは、単なる過去の数字の報告ではなく、その数字の裏にある「資金繰りの不安」や「次の一手への渇望」に気づき、解決策を提示できる実力です。AIの台頭を脅威と捉えるか、強力な武器と捉えるかで、私たちの未来は大きく分かれます。作業から解放される分、私たちはもっと経営者の心に寄り添う時間を増やせるはずです。
ちなみに、プライベートではクラフトビールが大好きで、「ビアテイスター」や「ビアコーディネーター」の資格も持っています。もし同じように、スポーツが好きだったり、ビールを片手に熱く経営を語り合いたいという先生や経営者の方がいらっしゃれば、ぜひ情報交換をさせてください。お互いの得意分野を活かし合いながら、共にこの激変の時代を楽しみ、成長していきましょう。
先生のご紹介
鈴木 政明 [SUZUKI MASAAKI]
略歴:公認会計士・税理士
大学時代は水上スキー部に所属。監査法人等で公認会計士としてのキャリアを積み、3社の上場(IPO)準備業務に関与する。独立後は税理士登録を行い、鈴木政明公認会計士税理士事務所を開設。
これまでの経験を活かし、上場準備における決算体制の構築や外部公表用財務諸表の作成、社内の内部管理などのサポートに強みを持つ。現在はAIツールなどを積極的に駆使した少数精鋭での事務所運営を進めつつ、経営者の身近な伴走者として経営助言ができる体制づくりと税務顧問の拡大に力を注いでいる。
所在地:東京都目黒区緑ヶ丘1-5-8
HP:https://msas.tkcnf.com/