税理士法人すずらん総合マネジメント【税理士/中小企業診断士】山谷 謙太

AI活用と増賃で若手が躍動する組織へ——独自の組織化で未来を拓く士業の第二創業への展望

2026-06-23

山谷 謙太

簿記の資格取得を機に異業種から税理士の道へ

——山谷さんは大学卒業後、金融機関に入社されたそうですが、そこからなぜ税理士を目指されたのでしょうか?

山谷: 金融機関に勤務していたときの同期に影響を受けたのがきっかけです。同期は専門学校出身者が多く、電卓や簿記の資格も持っていたのですが、私は経済学部卒なのに会計知識がほとんどなく、大学時代は車とバイクの免許を取ったくらいでした。

その「何も持っていない自分」に焦りを感じ、勤務先の近くに簿記学校があったので、仕事帰りに簿記3級の勉強から始め資格取得を目指しました 。3級に合格して2級を受験、2級に合格して1級を受験していきました。そして、1級合格をきっかけに税理士を目指すことにしました。

独立当初は大手事務所の「模倣」で挫折を経験

——その後、大手事務所での勤務を経て独立されましたが、独立当初はどのような課題に直面しましたか?

山谷: 最初は大きな失敗をしました。独立前にいた大規模事務所のやり方をそのまま踏襲して、形だけ真似してしまったんです。

たとえば、月商数十万円ほどの時期に、4万円以上もコストが掛かるメルマガシステムを導入したり、高価なサーバーを揃えたりしていたため、売上のほとんどが固定費で消え、すぐに資金繰りが行き詰まってしまいました。「プロの形」を追うあまり、足元が見えていなかったんです。

——その状況をどう乗り越えたのでしょうか。

山谷: 同業者から「もっと安くて良いものがある」と呆れられ、中身を見ずに形だけを追っていた自分に気づかされました 。この手痛い失敗があったからこそ、現在は身の丈に合った経営と、それを超えるための「独自の戦略」を冷静に考えられるようになりました。あの時の反省が、今の堅実な経営の土台です。

採用の決め手は「フットサル」。本音を引き出す独自の選考基準

——職員の半数が20代とのことですが、採用には独自の基準があるとお聞きしました。

山谷: はい。うちの事務所の採用面接では「フットサル面接」を実施しています。2時間一緒にプレーして、そのあと「びっくりドンキー」でご飯を食べるのが恒例です 。

面接室で用意された言葉を聞くより、一緒に汗を流し、リラックスして食事をするほうが、その人の「素」が見えると考えています 。税理士の仕事は、年上の経営者と対等に「喋る」ことが求められるため、知識以上に相手に寄り添い、チームで動ける人間力が重要なんです。

——フットサルで面接とは斬新ですね。採用の合否も山谷さんが決めるのですか?

山谷: いえ、最終的には現役の若手職員たちが「誰と一緒に働きたいか」を投票して決めます 。自分たちが選んだ仲間だからこそ、入社後も全力でサポートし合う文化が生まれています。

税理士・会計士のためのコミュニティ「ふらっと」

セミナーや交流会の開催、会員インタビューの発信などを通じて、
互いの得意分野を活かした協業のきっかけや、業界の最新トレンドが集まるコミュニティです。
ぜひお気軽にご参加ください。

言葉の壁を越える「安心感」の提供で外国人コミュニティの輪を広げる

——事務所の顧客構成についてお聞かせください。

山谷: 特に対象業種を絞っているわけではありませんが、結果として建設業のお客様が多いという印象です 。一方で、私たちの事務所ならではの特徴として、外国人社長が経営する企業の多さが挙げられます。

——外国人経営者の方々とは、どのようなきっかけで繋がるのですか?

山谷: 特にロシア人コミュニティ内での口コミが大きいです 。外国人対応や複雑な消費税還付に関連する実務は、慣れていない事務所だと敬遠されることもありますが、私たちはそこを丁寧に対応してきました。その「安心感」がコミュニティ内で広がり、次々とご紹介をいただいています 。

——言語の壁については、どのように対応されていますか?

山谷: 基本的には日本語で対応していますが、日本語が不自由な方の場合は、そのお子さんなどが通訳として同席されるので、職員が外国語を話せなくても問題ありません 。以前は外国人スタッフを雇用したこともありましたが、むしろ「日本のビジネス文化に精通した日本人スタッフ」による確実な対応を望む声が多いことに気づきました 。

AI活用と増賃により職員の幸福度を最大化する経営へ

——AI活用にも注力されていると伺いました。AIの導入によって、運営はどう変わりましたか?

山谷: Google Workspaceを全職員に導入し、打ち合わせの録音からNotebookLMで議事録化するのを標準にしました。

職員は若手が多いので、新しい技術を面白がって使ってくれています 。事務作業が短縮された分、お客様と向き合う「対話」の時間が増えたと感じています。

——事務所の目標として「増収増益」に加え「増賃」も掲げられているそうですね。

山谷:はい。事務所の成長を職員の豊かさに直結させるため、 数年前から「増賃」を明確な目標として掲げました。あわせて、誕生日のケーキや充実したドリンクサーバーなど、現場の声を反映した心地よいオフィス環境も大切にしています。こうした心の充足が、結果としてお客様の支援に向き合う熱量に繋がると考えているんです。

今後は第二創業と後継者探しに尽力

——今後の展望についてお聞かせください。

山谷: 14年間増収増益を続けてきましたが、ここ数年は若干足踏みをしていると感じるため、もう一度「第二創業」として事業を見直し、20名体制・年商2億4,000万円を目指す中期目標を立てています。

——先生ご自身の目標は何か掲げられていますか?

山谷: 51歳の私にとっての最大のミッションは「後継者の育成」です。65歳までに理念を継承できるリーダーを見つけたいと考えています。

職員には「後継者が現れなければ事務所を売却するぞ」とハッパもかけていますが(笑)。この事務所の熱量を理解し、共に歩んできた中から次世代が出てきてほしいというのが本音で、そのための仕組み作りが私の最後の恩返しだと思っています。

税理士は経営者の人生に深く関わる伴走者

——最後に、同じ士業として奮闘する読者の方へメッセージをお願いします。

山谷: 税理士は数字の整理屋ではなく、経営者の人生に深く関わる「伴走者」です 。もし日々の業務に追われて「自分のやりたかったことは何か」と悩んでいるなら、一度外を覗いてみてください。

私たちの事務所は、AIのような最新技術も使えば、フットサルのような泥臭い対話も大切にします。札幌に戻りたいUターン希望者や経営者のサポートをしたいと考える若手税理士の中で、私たちのスタイルに興味を持っていただけたら、ぜひ遊びに来てください。一緒にこれからの業界を語り合いましょう。

先生のご紹介

山谷 謙太 [YAMAYA KENTA]
略歴:税理士/中小企業診断士
大学卒業後、金融機関勤務時代の同期の影響から簿記の勉強を始め、税理士を志す。大手事務所での実務経験を経て独立し、現在は税理士法人すずらん総合マネジメントの代表として、14年連続の増収増益を達成 。フットサル面接を用いた独自の採用や、AI活用による業務標準化、職員の増賃を掲げる経営を実践し、現在は20名体制を目指す「第二創業」に注力している 。
所在地:札幌市中央区南4条西10丁目1004番地2
HP:https://www.suzurankaikei.com/