ミライズ税理士法人【税理士】仙石 一貴
本業を極め、+αの価値を届ける——「補助金支援」と「投資減税」 を強みに企業を支える税理士の軌跡
「環境」と「直感」から始まった税理士への道
—— まずは、税理士を目指したきっかけをお聞かせください。
仙石: 実は、絶対「税理士になりたい」という強い思いがあったわけではないんです。高校が商業高校だったこともあり、簿記の勉強をする環境に身を置いたことで、自然な流れで目指すようになりました。親が税理士事務所に勤めていたので、身近に税務の世界はあったものの、中学生の時には税理士になることなんて全く想像していませんでしたね。
—— ご家族からの直接的な働きかけはあったのでしょうか?
仙石: いえ、一度もありませんでした。「資格を極めるなら何がよいか」と考えたとき、公認会計士と税理士が選択肢に浮かびました。その中で、自分なりに将来像を思い描いた結果、公認会計士は法人対応のイメージが強く、一方で税理士は個人(オーナー)とも深く関われる点に魅力を感じ、自分に向いているのではないかと思いました。今でも、その直感は間違っていなかったと思います。
事業再構築補助金との出会いが補助金支援の「原点」
—— 補助金業務に携わることになったのはいつ頃からでしょうか?
仙石: 令和2年のコロナ禍で、事業再構築補助金の第1回が始まったときです。前職の税理士事務所に勤めていたときに会社全体で取り組もうとなって、全国にある拠点ごとに希望者を募りました。私は未経験だったのですが、他の人と相談しながら事業計画策定の支援をし、申請した2件が採択されたんです。正直、申請が通ったことには驚きました。
—— 補助金支援に力をいれるようになったのは、その時の経験が大きかったのですね。
仙石: そうですね。採択された案件は製造業で機械購入が目的だったので、補助金に通りやすい業種だったとは思います。でも、それまで補助金に関わったことがなかったので、この分野で自信がつきました。その後、銀行からの紹介で2件、3件と案件を引き受けるようになり、次第に補助金業務が中心になっていったんです。
大規模補助金を中心に、補助金ビジネスを本格化
—— 現在のミライズ税理士法人での補助金事業について、お聞かせください。
仙石: 当初は10人程度だった規模が、今年で4年目、35人ほどまでに成長しました。実は、補助金業務に本格的に会社として取り組むようになったのは最近なんです。昨年は私が単独で進めていたのですが、今年は他のメンバーも加わるようになりました。
現在は、 経済産業省が出している補助金制度のうち、IT導入補助金以外の、ほぼすべての補助金に対応しています。特に相談が多いのは、3,000万円以上の大規模な補助金ですね。最近では補助上限5億円の、成長加速化補助金に採択されたお客様もいます。
—— 今後もこうした大規模案件に取り組む予定ですか?
仙石: はい。来年以降も継続して取り組む予定です。ただ、補助金の中には、今後、最低投資額の要件が引き上げられると予測されているものもあり、申請可能な企業は、より限定的になっていくでしょう。
私自身、税理士業務を中心としていることもあり、補助金単独でのご相談は多くありませんが、企業の投資内容や背景を丁寧に把握したうえで、今後も最適な補助金をご提案し、柔軟に申請支援を行っていきます。
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顧客に最適な支援策を提案するスタイルを貫く
—— 補助金だけでなく、投資減税についても提案されているのですか?
仙石: はい。「お客様の投資内容に最適な支援策を提案する」というスタイルで税務支援にも取り組んでいます。たとえば、設備投資を検討している企業に対しては、その投資額や事業内容に応じて「地域未来投資促進税制」や「中小企業経営強化税制」、「先端設備等導入計画」など、複数の選択肢を提示しています。こうした税制支援こそが、私たちの本業です⋯(笑)
「中小企業投資促進税制」は事前申請を要せず、申告時に適用できる一方で、これらの税制は補助金と同様に、事前に認定を取得する必要があります。お客様によって最適な税制措置が異なるため、それぞれの状況を見極めることが大切です。
—— 投資減税に対応できる税理士事務所は少ないと聞きました。
仙石: そうなんです。補助金を扱うコンサル会社は調べれば出てきますが、投資減税に対応できる税理士事務所は本当に少ない。設備投資で法人税の特別償却や税額控除の可能性がある企業があれば、ぜひお任せいただきたいです。
胸を張って補助金に取り組むため、行政書士の登録申請を決断
—— 2026年から、補助金申請支援の規制が厳しくなると伺いました。
仙石: はい。以前はコンサルティングの一環として、いわゆるグレーゾーンとされていた部分もありましたが、行政書士または行政書士法人のスタッフ以外が報酬を得て申請書類の作成支援を行うことが明確に制限されました。国が真の成長投資を重視し始めた流れもあり、支援者の資格についても一気に厳格化されましたね。
—— 具体的な対応策についてはどのようにお考えですか?
仙石: 現在、私自身、行政書士の登録申請を進めています。あわせて、社内の経営会議において検討を重ねた結果、 2026年4月1日付けで「行政書士法人化」することが決まっています。
中長期的にこの分野で貢献し続けるためには、国の制度に翻弄されるのではなく、自らが有資格者として胸を張って補助金業務に取り組む体制を整えるべきだと判断しました。行政書士の立場も兼ね備えることで、コンプライアンスを完全に遵守した上で、より高度なワンストップ支援を全国のお客様へ届けていくつもりです。
本業の深さと補助金の広さで、選ばれる事務所へ
—— お客様はどのような層が多いですか?
仙石: 60代、70代の経営者の方が多く、事業継承や相続対策を視野に入れた相談が中心です。選別してお付き合いしているわけではないのですが、創業初期のスタートアップや資金に困っているお客様は少なく、自然とそうした層が集まってきた形です。
—— 補助金支援が多くを占めているのでしょうか?
仙石: 補助金支援は一部分で、本業である税理士業務、相続申告、事業承継対策といった支援が中心です。高所得や大企業のお客様が多いこともあり、補助金支援だけで経営が成り立つわけではありません。
ただ、それが強みになっているとも言えます。補助金の交付がなくなってしまうと、それだけで事業が成り立たなくなる会社も多いでしょう。でも、私たちは本業の税理士業務をしっかり行いながら、補助金で収益力を高める。そういう安定した財務基盤があれば、経営も安定するし、お客様へのコミットメントも深くなります。
本業を極めることから始めましょう
—— 最後に、税理士を目指す読者の方へのメッセージをお聞かせください。
仙石: 補助金支援も投資減税も、「本業の税理士業務」があってこそだと思うんです。それは単なる効率の問題ではなく、本当の意味での支援につながる、あくまで「企業の成長を後押しするツール」に過ぎません。
そのツールをどう活かすかは、税理士がどれだけ企業のビジョンを理解しているかにかかっているんです。お客様の経営をずっと見守る立場だからこそ、最適なタイミングで最適な提案ができる。補助金や投資減税といった施策に取り組む場合には、ぜひ「本業を極める」ことから始めてください。
先生のご紹介
仙石 一貴 [SENGOKU KAZUKI]
略歴:税理士。商業高校卒業後、税理士事務所に勤務。第1回事業再構築補助金で初めて携わった補助金業務が転機となり、ミライズ税理士法人参画後は補助金支援を本格化。現在、補助金支援と投資減税の提案を両輪とした大規模案件への経営支援を展開中で、2026年からは行政書士の登録申請の開始を予定している。
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