医療に特化した“守り”と“攻め”の経営サポート。「医療に貢献したい」という思いから歩んだ士業への道

難病を患った経験が原点。医療貢献を目指し士業へ

—— まずは、現在の活動について教えてください。

増渕：公認会計士・税理士として、医療と福祉の業界に特化した税務・会計のサポートをしています。監査法人での勤務時代に、希望を出してヘルスケアセクターに異動し、病院や介護施設で専門知識を磨きました。あの頃抱いた「医療に貢献したい」という思いが、今の仕事につながっています。

現在は医療機関のお客さまを中心に、日々の税務顧問からドクター個人の資産形成まで、幅広くサポートしています。

—— 医療や福祉に特化した士業を目指したきっかけは何だったのでしょうか？

増渕：15歳のときに国の指定難病を患い、高校卒業まで入退院を繰り返しました。病院で医療従事者の働きぶりを間近で見て、医療に興味を持ったのですが、医療従事者として働くのは難しいと感じていて。

そんな時、頭に浮かんだのが税理士をしていた祖父の姿でした。父がサラリーマンだったのに対して、祖父は地域に貢献しながら、いきいきと仕事をしていました。自分も同じように、士業として医療に貢献できる人になりたいと考え、公認会計士の資格取得を目指すことにしました。

ゼロからの独立。集客戦略は「顔と強みを覚えてもらう」ことから

—— 独立に至った決断の背景や、苦労された点はありますか。

増渕：監査法人では与えられた仕事をこなす日々で、やりがいを感じにくくなっていました。祖父のようにお客さまと向き合いながらいきいきと働きたいという思いが強くなり、8年ほどで独立を決意しました。

ただ、独立当初はゼロからのスタートで、集客は本当に大変でした。開業が繁忙期直前だったこともあり、時間的余裕はありませんでした。

—— その困難を、どのように乗り越えたのでしょう？

増渕：まずは他の士業が集まる交流会に積極的に参加し、名前や「医療・福祉に特化」という専門性を覚えてもらうことから始めました。今でも行政書士など他士業の紹介でご縁をいただくことが多いです。最初は「顔と強みを覚えてもらう」ことが大変でした。

医療機関の経営を「守り」と「攻め」の二刀流でサポート

—— 独立後、仕事で最も大切にしている価値観は何ですか。

増渕：一番大切なのは「お客様と一緒に前を向けるかどうか」です。数字をまとめるだけでなく、利益や売上を上げるサポートをし、一緒に同じビジョンに向かえるかがポイントです。

—— 具体的にはどのようなサポート内容か教えて頂けますか？

増渕：医療機関の経営を「守り」と「攻め」両面から支援しています。「守り」は書面添付を通じて安心感を提供し、金融機関からの評価を高めること。「攻め」は資産形成や目標の見える化です。利益目標から行動計画まで明確にすることで、ドクターの成長を支えています。

さらに、医療法人の特性を踏まえ、MS法人（メディカル・サービス法人）の設立を含めた、投資や節税のサポートも積極的に行っています。

連携の輪を広げ、共に成長していきましょう

—— 今後の取り組みや展望を教えてください。

増渕：医療・福祉特化をさらに強化し、事務所の拡大に注力します。そのためには、今後1〜2年で正社員を増やして5名規模にしたいと考えています。仕事を分担しつつ、サービスの質を維持することが大きな挑戦です。

また、将来的には税理士法人化も視野に入れています。コンサルティング専門会社と連携して、より多角的な医療機関支援体制を構築していきたいです。

—— 最後に、読者である士業の方々へメッセージをお願いします。

増渕：独立は大変ですが、自分の責任で意思決定し、お客さまと共に成長できる喜びは何物にも代えがたいです。

特に同じ分野に特化する士業の方とは、積極的に連携していきたいと考えています。社労士や行政書士など医療・福祉に強い専門家と提携すれば、情報交換やサービス提供の質も向上します。信頼で繋がる連携の輪を広げ、共に成長していけることを楽しみにしています。ぜひ、お気軽にお声がけください。