麻生 高志

麻生税務会計事務所【公認会計士】麻生 高志

地域の企業に寄り添う二代目会計士の挑戦——AI活用とM&A支援で繋ぐ未来へのバトン

自宅兼事務所で育んだ、会計への自然な興味

—— 先生は現在、お父様の事務所で公認会計士として活躍されています。まず、これまでの歩みと現在の活動を教えてください。

麻生:父が会計事務所を経営していて、自宅と事務所が一体になった環境で育ったんです。常に会計が身近にある生活でした。父が難しい本を読んでいる姿を見て、「これはどんな仕事なんだろう」と自然と興味を持ったのが原点ですね。

大学在学中に公認会計士試験に合格し、卒業後は監査法人で約7年間勤務しました。その後、税理士法人を経て、M&A専門の会計事務所で7年経験を積み、現在は父の事務所で主に地域の中小企業の税務業務を担当しています。加えて、以前の経験を活かし、M&Aの際のデューデリジェンス(DD)などの案件にも対応しています。

優秀な人に埋もれないための“資格”という武器

—— 幼い頃から会計が身近にあったということですが、この道を本格的に志した決定打は何だったのでしょうか?

麻生:正直に言うと、「勝てない」と思ったからです。高校や大学で周囲を見たとき、すごく優秀な人ばかりで、「この人たちと正面から戦っても埋もれてしまう」と感じたんです。だからこそ、資格という“戦える武器”を持とうと考えました。

勉強は苦しかったですが、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できたのは大きかったです。今でもその仲間とは仕事の情報交換を続けています。似た志を持つ仲間との繋がりが、今の自分の土台になっていますね。

時代とのスピード差を埋める、AIを活用した業務変革への挑戦

—— M&Aという専門分野から、地域密着の事務所へ。現場ではどんな課題に直面しましたか?

麻生:まず痛感したのは、「時代とのスピード感の違い」です。お客様の多くは父の代からのお付き合いで、今は二代目、三代目が経営されています。ただ、紙や手書きで経理を続けている方も多い。こちらとしては効率化のためにクラウド会計やAPI連携を進めたいのですが、急に「今日からデータ化を」とお願いしても難しいんです。

—— 長年の習慣を変えるのは一筋縄ではいかないですよね。

麻生:そうですね。会計ソフトも古いものが多く、最新のシステムとは相性が悪い。

そこで私は、GeminiなどのAIを使って紙の資料をデータ化し、少しずつ運用を変えていく方法を模索しています。お金をかけずにAIを駆使して自分で事務所のホームページを作ったのも、AIを理解しながら改善する実験の一環ですね。

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AI時代に問われる「人に寄り添う顧問」の価値

—— 先生が大切にしている軸は何ですか?

麻生:一番考えているのは、「AI時代に会計士・税理士の価値はどこにあるのか」ということです。AIは与えられた情報をもとに合理的な最適解を出すことが得意です。でも、経営判断は合理性だけでは決まらない。経営者の人生、家族、地域への想い。そうした背景まで読み取れるのは人間だけです。

だからこそ、数字の裏にある「物語」を理解することが大切だと思います。AIが提案できない、「この社長にとっての最善」を共に考える。これが私の中での“人に寄り添う顧問”の形です。

—— データだけでは測れない、人間だからこそ提供できる「価値」ですね。

麻生:はい。たとえば、事業承継に悩む方に「M&Aという選択肢もあります」と伝える。その上で、信頼できる仲介業者を紹介し、納得できる形で進めてもらう。私はあくまで、経営者が迷うときの「入口の相談役」でありたい。AIがいくら進化しても、この「寄り添う距離感」は変えたくないですね。

自身の承継経験を活かした、地域企業の未来支援

—— これから、事務所をどのように発展させていきたいとお考えですか?

麻生:いま私自身がまさに事業承継の真っ只中にいます。その経験を通じて感じるのは、経営者が承継やM&Aに不安を抱えているという現実です。情報さえあれば助かる会社も多い。だから今後は、セミナーなどを通じて知識や選択肢を届ける活動をしていきたいと思っています。

M&Aは目的ではなく、あくまで“ツール”。その手前で立ち止まっている方に、「こんな道もある」と示してあげたい。そうやって、地域の企業が未来へバトンをつなぐお手伝いをするのが私の役割です。

—— 地域に根ざした活動を大切にされていることが伝わってきます。

麻生:個人的には、地元のスポーツも大好きなので、地域クラブチームの会計サポートなどにも関わっていけたら嬉しいですね。地域に根ざす会計士として、人の想いが循環する仕組みを支えていきたいです。

AIにできない「専門性×現場の温度感」を強みに

—— 最後に、同じ士業で日々奮闘する読者の皆さんへ、メッセージをお願いします。

麻生:私もまだ模索の途中ですが、AIや新しい技術が進む今こそ「自分の仕事の価値とは何か」を問い直すタイミングだと思っています。

監査法人で学んだ専門性と、地域の現場で感じる温度。その両方を持っていることが、これからの強みになるはずです。 AIにはできない、人に寄り添う顧問のあり方を、一緒に探していきましょう。

私が取り組んでいるGeminiを使った効率化やM&Aを活かした承継支援に、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。ぜひ、現場での悩みを共有しながら、次の一歩を共に考えていければと思います。

先生のご紹介

麻生 高志 [ASAO TAKASHI]

略歴:公認会計士。大学在学中に会計士試験に合格。その後、監査法人に約7年間勤務し、M&A関連業務を行う会計事務所での約7年の経験を経て、現在は実家の会計事務所で通常の税務業務を主軸としている。
AIを活用した業務効率化や、経営者の人生を踏まえた相談相手としての価値を追求し、M&Aの経験を活かした事業承継の入り口支援にも注力している。地域スポーツチームのサポートにも関心を持つ。

所在地:〒513-0806 三重県鈴鹿市算所5-24-22

HP:https://asaokaikei.github.io/mie-suzuka/#office-info