松永ひろあき税理士事務所【税理士】松永 容明
国際税務の最前線を経て「お客様の笑顔」のために挑戦を重ねる税理士の軌跡
国税から転身し、国際税務経験と「聞く力」を得る
—— まずは、これまでの経歴を教えてください。
松永: 最初は「公務員なら安泰だろう」と思って国税庁に入りました。ただ、私は次男坊で、昔から上に逆らうタイプで(笑)。役所の「何でもイエス」という体質がどうしても合わず、最初から「10年経ったら辞めよう」と決めていたんです。
—— その後のキャリア戦略はどのように考えていたんでしょうか?
松永: 「民間に出るなら、競争の少ない分野で力を発揮したい」と思いました。当時は国際税務がまだ注目されておらず、語学と国際税務を学び、34歳でアーサー・ヤング税理士事務所(現 アーンスト・アンド・ヤング税理士法人)に転職しました。
ここで国際税務の基礎と実務を徹底的に学び、外資系企業の税務調査支援や移転価格対応を担当。その後、ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所にヘッドハンティングされ、移転価格税制の黎明期に、国際案件の最前線を経験しました。
筑波大学大学院では信託税制を研究し修士号を取得。学問的な裏づけを得た上で、UBSトラスト銀行のタックスディレクターとしてプライベートバンキング業務にも携わりました。その後はトーマツ税理士法人で国際税務部門のディレクターを務め、オーストラリア・ボンド大学でMBAを取得。実務・理論・マネジメントの三拍子をそろえ、独立にいたりました。
—— 多彩な経験を経られてきましたが、キャリアを築くうえで、特に大事にしてきた価値観はありますか?
松永: 「聞く」ということですかね。実は「国税に10年しかいなかったこと」が良かったと思っています。長くいると「聞く耳を持たない」人も多いんです。私は若くして辞めた分、「聞く力」が自然と身につきました。クライアントの不安や税務当局の意図を丁寧に聞く。それが税務調査のリスクを未然に減らすことにもつながっています。
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お客様の人生や経営に本気で寄り添うためにできること
—— 独立後、何が一番変わりましたか?
松永: 一番大きいのは「お客様の笑顔」の捉え方ですね。昔はそれを組織の成果として見ていました。今は違います。お客様の笑顔がそのまま自分の喜びとして返ってくる。独立して初めて、お客様の人生や経営に本気で寄り添えるようになったと思います。
—— 今、大切にしているスタンスはありますか?
松永: 今、弁護士や起業家など、異業種の人と積極的に会っています。税理士業界は専門化が進みすぎて、税務だけ見ていても経営全体が見えないんですよ。
税務だけでなくアドバイスができる人間になりたいので、最近はスタートアップの伴走支援にも力を入れていますし、IPOを目指す企業をサポートしたこともあります。監査系の税理士法人に引き継ぎましたが、そこまでやってあげられたという満足感はあります。
成果が見えにくいアドバイスを「見える化」し、お客様の成長という実績に結びつけていくことが喜びです。
—— 今後、特に注力したい分野はありますか?
松永: 国際税務と並行して、最近は資産税にもっと力を入れたいと思っています。というのも、私自身が相続に失敗しているからなんです。
私自身が相続人となった際、兄弟間の事情で不動産が共有になり、分割ができないまま放置状態になってしまった。その経験から「こんな失敗は他の人にしてほしくない」と強く思いまして。そうした実体験が、次の専門領域を深く掘るきっかけになりました。
そして、もう一つは中国系企業の支援です。彼らは非常にエネルギッシュで、発想が豊か。そうした企業を支援することで、結果的に日本経済の活性化にも貢献したいと思っています。
挑戦し、謙虚に受け止め、次に活かせば「失敗」はない
—— 最後に、独立を目指す税理士や会計士へメッセージをお願いします。
松永: 独立すれば、皆さんはリーダーであり、マネージャーであり、プレイヤーでもあります。大変な立場ですよね。私が心がけているのは「謙虚さ」です。
まずは、人の話をよく聞くこと。そしてもう一つは、失敗を恐れないことです。私は職員によく言うのですが、「成功か失敗か」ではなく、「成功か学びか」なんです。
失敗には必ず学びがあります。プライドや不安から踏み出せない時もあるでしょう。でも、挑戦し、謙虚に受け止め、次に活かせば、必ず成功に繋がる。だから私は、皆さんにもぜひこの言葉を座右の銘にしてほしいと思います。
先生のご紹介
松永 容明 [MATSUNAGA HIROAKI]
略歴:税理士。大学卒業後に、国税庁で10年間勤務。その後、国際税務を専門とするためにアーサーヤング税理士事務所(現 アーンストヤング税理士法人)、ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所、UBSトラスト銀行などで要職を歴任。オーストラリアボンド大学でMBAを取得後、独立。現在は、元国税の知見と国際税務の知識を活かした税務調査支援や、中国系企業の支援や相続分野に力を注ぐ。
所在地:神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町3-29-1鶴屋町ハイツ809号