公認会計士から税理士へ──信頼関係が繋いだ“人に寄り添う専門家”への道

※今回は、藤田 美咲 先生に加え、税理士法人エスペランサの岡田 駿 先生にもご参加いただき、事務所のリアルな声と未来のビジョンを深く掘り下げてお届けします。

資格を通じて広がったキャリアの選択肢

—— 藤田先生は公認会計士と税理士、二つの資格をお持ちですが、まずはこれまでの歩みをお聞かせいただけますか。

藤田： 最初から税理士を目指していたわけではなく、公認会計士としてキャリアをスタートしました。大学3年の終わり頃、「何か資格を取らなければ」という思いから公認会計士試験に挑戦したのがきっかけです。ゼミの先生が試験委員をされていて、周囲にも受験仲間が多く、自然な流れでその道に進みました。

監査法人で働きながら、週末は自分が通っていた資格学校で会計士講座の講師を務めていました。監査法人は「会計士の王道」でしたが、人に教える仕事の面白さに魅了され、3年で監査法人を退職して講師業に専念しました。

—— そこから税理士業務に進まれた経緯は？

藤田： 資格学校で同僚だった吉田先生（現・共同代表）から声をかけてもらったことが大きな転機でした。2012年頃、名古屋に新オフィスを立ち上げるタイミングで「一緒にやらない？」と誘っていただいて。

税理士の実務はほとんど未経験でしたが、人としての信頼関係があったので迷わず飛び込みました。最初は「少し勉強させてもらえれば」くらいの感覚でしたが、この出会いが今につながっています。

「上機嫌でいられる」チーム作り

—— 現在の事務所について教えてください。

藤田： 大切にしているのは「みんなが上機嫌でいられる場所」であることです。仲間が自分のやりたいことを叶え、仕事でもプライベートでも自分らしくいられる、そんな事務所でありたいと思っています。

—— 事務所の強みは何でしょうか？

岡田：  内部的な強みでいうと、スタッフのレベルの高さです。パートスタッフでも決算を組め、専門的な質問にも対応できる人材が揃っており、誰に任せても安心です。

外部的な強みは、法人税や所得税の申告だけでなく、相続や事業承継、M&A、労務相談までワンストップで対応できる点です。お客様のフェーズに合わせた必要なサポートを一元的に提供できることが、大きな強みだと思います。

お客様の悩みの相談役として期待に応え「ありがとう」と言ってもらえた瞬間は、本当に嬉しいですね。

AI時代に取り残されないために。創造的な業務へ注力する生産性戦略

—— 課題感としてはどのようなものがありますか？

岡田： AIやロボティクスへの対応ですね。今後の業界は必ず変化していきますから、使いこなせないと取り残されてしまう危機感があります。

現在、社内では文書作成や資料調査にAIを活用し始めています。将来的には、会計ソフト内のAI機能など、仕訳一つひとつを自動化・学習機能で補完してくれるツールの導入を加速し、生産性を高めたい。そうすれば人が担うべき創造的な業務により注力できると考えています。

多様な働き方を取り入れ、持続可能な事務所へ

—— 今後の展望についてお聞かせください。

藤田： 事業の幅を広げていくのはもちろんですが、働き方の多様性をさらに取り入れたいと思っています。リモートワークを含め、個々のライフスタイルに合った形で長く働ける組織を作り、より柔軟で持続可能な事務所を目指していきます。

こうした取り組みが、メンバー一人ひとりのモチベーションや専門性の向上にもつながり、結果的にお客様へのサービス品質の向上にもつながると考えています。

得意分野での「協働」が税理士の未来を拓く

—— 最後に、独立を目指す先生方や、同業の先生方へメッセージをお願いします。

藤田： 税理士の仕事は、お客様の不安に最も近い場所で安心を与え、解決の糸口を示せる職業です。責任は大きいですが、これほど存在意義とやりがいのある仕事も他にないと思います。独立を目指す方も、ぜひ一緒に頑張りましょう。

また、エスペランサでは通常の税務顧問に加え、相続専門部署やM&A支援にも力を入れています。こうした分野に課題を抱える同業の事務所様がいれば、ぜひご連絡ください。協力し合いながら、共に業界を盛り上げていけることを楽しみにしています。