クロスト税理士法人【税理士】田代 健太郎
「逃げられない」から始まった挑戦──サービス業としての税理士像を追い求めて
ゼミの先生の一言から法学部から税理士の道へ
—— まず、税理士を目指すきっかけについてお聞かせください。
田代:
 進路に悩んでいた時、大学のゼミの先生から資格取得という道があるという事を教えてもらったことをきっかけに、資格の本を調べる中で、下記の理由から税理士を目指すことにしました。
・難易度と年収のバランスが良かった事
・常に国税側と納税者側の“いたちごっこ”という税務の構図の中で活躍できる事
・知識を持っている人が確実に得をする事
・いつか自分で何か事業をやりたいという気持ちも強かった事
ただ、簿記3級から始めて大学院も経て、たった3科目合格するのに10年もかかってしまいました。振り返ると自分でもダメな奴だなと思うくらい遠回りした形です(笑)。
——その間、心が折れそうにはなりませんでしたか?
田代:
 もちろん勤務しながらの受験勉強は他の方々同様苦しかったです。でも当時は就職氷河期で、大卒で就職しなかった時点で選択肢は割と狭くなっており、絶対に税理士資格をとるしかないと思っていました。むしろその環境が覚悟を決めさせてくれたんだと思います。決して順調な道ではありませんでしたが、いま振り返ると、その遠回りが、いまの事務所運営の考え方に大きく影響していると感じます。
独立時は「あえて顧客ゼロ」からのスタートに挑戦
——独立までの経緯はどのようなものだったのでしょうか?
「35歳で独立する」と目標を立て、そこから逆算してキャリアを積みました。目標通りに35歳で独立しましたが、前職の先生との関係を壊したくなかったので、お客様を一社も引き継がず、売上ゼロからのスタートとなったため、人づてに紹介をお願いして回るところから始めました。
「いいお客様だけ」なんて理想を言っていられない状況で、とにかくたくさんの人に会って、一人一人に誠実に向き合う様に心がけてきました。その過程での経験から、税理士業は「先生業」ではなく「サービス業」なんだ、と強く意識するようになりました。
お客様の多くは税務以外の部分でも悩みを抱えておられます。私たちにできることは限られていますが、じっくり話を聞くことで悩みの本質を聴くことができ、その解決のために、他の専門家を紹介したり、事例を伝えたり、ヒントをお渡しすることができる事を学びました。結局大事なのは信頼関係なんだと感じれた経験が私の事務所経営の一番基本の部分です。
また、メンバーに対しても同じで、お客様に良いサービスを届けるには、メンバー自身が満足して働ける環境が欠かせません。だからこそ教育や働きやすい仕組みづくりを何より大切にしてきました。
——スタッフへの取組みについて、詳しくお聞かせください。
田代: 未経験者メンバーが増えたからこそ、時間内でスキルアップできる教育体制が重要です。座学の時間もとってもらっていますが、それ以外にも私自身が経験した失敗や成功を共有しています。実体験を通じた話は説得力があり、経営者であるお客様にとっても大きな価値につながると考えています。
ある程度のメンバーの満足度、つまり内部が充実して安心して働ける環境がなければ、良いサービスは生まれないと思っています。
横のつながりで「メンバーシップ型」の価値提供を目指す
—— 今後の展望についても教えてください。
田代:
 最低でも年間15%、理想は20%の成長を続けたいと考えています。そのためにサービスの幅も広げていきたいと考えています。税務調査や相続といった定番のサービスに加え、異業種の専門家と連携しながら、お客様の経営課題を包括的に支援する「メンバーシップ型」の価値提供を目指しています。
—— 自事務所だけで解決できない課題に、横のつながりで応えるイメージですね。
田代:
 その通りです。自事務所だけで完結する必要はなくて、むしろそれぞれのスペシャリストとの連携を通じてお客様にベストを届けていきたいと考えています。
読者へのメッセージ:税理士業界の未来は明るい
—— 最後に、税理士を目指す方や同業の先生方にメッセージをお願いします。
田代:
 「税理士業界は先がない」と言われることもありますが、私は全くそうは思いません。経営者と真正面から話ができる税理士のポジションは、他の職業にはなかなかありません。ITやAIの技術がどんなに進んでも、税務申告だけではなく「お客様のお困りごと解決業」として寄り添う姿勢があればチャンスは無限に膨らむ感覚です。
だからこそ、税理士業界の未来はとても明るいと信じています。うちはまだまだですが、同業者の方々とも積極的に情報交換して、一緒に業界を盛り上げていきたいと思っていますので、ぜひお気軽にお声がけください。
先生のご紹介
田代 健太郎 [TASHIRO KENTARO]
略歴:税理士。大学在学中に税理士の仕事に興味を持ち、卒業後は会計事務所3社で約10年間実務経験を積む。2015年個人開業を果たし、その後2018年に法人成り。現在は大阪市内の2拠点で活動中。また2024年1月に社労士法人も設立。
現在は「私たちはお客様のお悩みを解決する万屋である」という共通理念のもと、売上10億に向けて約20%/年の成長を目指す。常に変わり続ける社会や顧客のニーズに応えるべく、変化を恐れず柔軟に挑戦し続ける。
所在地:
梅田オフィス:大阪市北区堂島2丁目1-27 桜橋千代田ビル9F
本町オフィス:大阪市中央区南本町4丁目1-1 ヨドコウビル5F
HP:https://crosst-tax.jp/