木下公認会計士税理士事務所、Suinas Consulting株式会社【公認会計士/税理士】木下 恵一
組織に依存しない働き方を求めて「自分を磨く」士業の軌跡
学生時代、特にやりたいことは見つからなかったが、父のすすめで会計士を志す
—— まずは、会計士を志された理由を教えてください。
木下:会計士になるというのは、最初の頃は特に意識していませんでした。ただ、学生時代から人の指示で動くより、自分のやりたいことに集中したいタイプで(笑)。「サラリーマンには向いていない」と自己評価していたこともあり、何か専門的な資格やスキルを身につけたいと思ったんです。
また、国税局に勤めていた父に高校時代から会計士を勧められていたのも大きいですね。進路を決める時点で特にやりたいこともなかった私は、これまた幼少期から地元の大学に進学したら?と父から言われていたという理由でその大学へ進学し、在学中に会計士試験にも合格しました。今思えばすべて父の敷いたレールの上に乗っていますね。
—— 卒業後は、監査法人に就職されたそうですね。
木下:はい。大学卒業前から大手監査法人で非常勤で働き、そのまま入社しました。当初配属された株式公開部で約7年、その後M&Aのアドバイザリー部門に異動して合計15年です。いずれもタフな業務の連続でしたが、業務のシビアさ(スケジュール面やお客様の要求水準の高さ)は、アドバイザリー部門にいたころのほうが強かったと思います。しかし、我々のパフォーマンスがお客様の利害に直接影響するという緊張感は監査業務にはないもので、非常にやりがいを感じました。
—— ご自身の性格とサラリーマン生活との間で葛藤はありませんでしたか?
木下:実際に入社するまでは、監査法人というのがこれほどまでにサラリーマン社会とは認識できていませんでした。また、当時はまだ大学卒業したての世間知らずでしたので先輩・上司はみんな正しいことしか言わないはずだと信じていた面もあったように思います。そんな中で仕事にも慣れ、自我が芽生えるうちに、自身の希望とする環境とのギャップにストレスを感じることも多くなりましたが、スキルと知識を磨くことを優先していました。自由を得るためには武器が必要と思っていましたので。
組織に依存せず「自分を磨く」決意から独立へ
—— 監査法人を離れ、今のように税理士事務所をやりながら、M&Aアドバイザリーの会社で独立しようと思ったきっかけは?
木下:同じ仕事の繰り返しが増えてくる中で、年齢も30台後半となり、独立するにはもうラストチャンスと思って独立しました。とは言ってもM&Aに関する仕事だけでは、スポットの業務のため、事業の安定性に掛けると思いました。また、父と叔父が税理士事務所をやっており、将来的な事業承継の可能性を見据えて税理士事務所もやろうと考えました。
—— 実際の環境はいかがでしたか?
木下:M&Aアドバイザリーについては、やはりスポットの案件なので、安定しませんでした。とんでもなく業務が重複することもあれば、暇な時もあります。そんな中、税理士の仕事はありがたいことに顧問契約をいただければ、毎月安定した顧問料をいただけますので非常に助かっています。
—— 独立して困ったことは?
M&Aアドバイザリーについては、周りに専門家が沢山いた前職とは異なり、私ではできないことをサポートしてくれる協業先を見つけるのに苦労しました。今はとても頼りになる他士業の先生とのネットワークを構築できていると考えており、これからも増やしていきたいです。
税理士業務については、自分で言うのもなんですが、知識もそれなりにありますし、調べ物は得意な方だと思っていますので、基本的な知識はそれほど苦労しませんでした。ただ、分かる人には分かると思うのですが、税務って実務をやらないと知りえないような細かなルールが多く、そういったことが大変でした。その点は父親などに良く助けてもらい、かなりありがたかったです。
双方がハッピーになれる最善の支援を
—— 独立後、特に力を入れたいことは何ですか?
木下:まずは「仲間を増やす」ことです。現在、事務所は少数体制なので、どうしても仕事が集中してしまいます。専門性を持った仲間を増やし、よりクオリティーの高いサービスをスピーディーに提供できる体制を作りたいですね。
—— サービス面でのこだわりはありますか?
木下:M&Aアドバイザリーも相談できる顧問税理士となることです。はじめはスポットでM&Aで関わったお客様との信頼関係を構築し、そのまま顧問として長期的にご支援させていただく流れが理想です。
また、お客様との関係は「双方がハッピーであること」を大切にしています。お客様のためを思えば思うほど、自己犠牲に走ってしまいがちですが、そうなると良い関係は長くは続かないと思うからです。
お客様と「長期的に良好な関係」を構築していくために私たちができることを常に考えながら、最善のサポートを提供していきたいです。
—— 普段のコミュニケーションで意識していることは?
木下:公式LINEやチャットワークを活用し、できる限り迅速にレスポンスしています。M&A時代に「待たせない」文化で鍛えられたので、その習慣が今も役立っています。
専門性を高め続ける「仲間」と出会いたい
—— 最後に、同業者や未来の仲間に向けてメッセージをお願いします。
木下:税務だけでなくM&AやIPO支援など、広く学びたい「欲張りな人」と一緒に働きたいです。私も負けずに、専門性を高めながら「自分自身」という資産を磨き続けたい。自分の力で戦えるプロフェッショナルを目指す姿勢に共感してくれる方との出会いを楽しみにしています。
先生のご紹介
木下 恵一 [KINOSHITA KEIICHI]
略歴:公認会計士・税理士。監査法人でのキャリア15年のうち、約半分をM&Aアドバイザリー業務に従事。監査法人では、会社上場支援や大企業の監査を担当し、アドバイザリー業務ではM&Aに関する業務を専門に扱う。その後、令和2年11月に独立し、公認会計士・税理士事務所及び株式会社M&Aサポート(現:Suinas Consulting株式会社)を開業。M&AやIPO支援を得意とし、顧客の課題解決を重視している。税理士としては、freee認定アドバイザーであり、全国数多くスタートアップ企業の税務・会計の相談に対応している。
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