野本正明税理士事務所【税理士】野本正明
「スポーツ選手の代理人(伴走者)」の憧れから「経営者の代理人(伴走者)」として活躍する税理士の軌跡
「スポーツ選手の代理人」への憧れから士業の道へ
—— まず、先生ご自身のキャリアについて教えてください。
野本:25歳で税理士を目指したときは簿記の知識もほとんどなく、本当にゼロからのスタートでした(笑)。学生時代は野球一筋で大学野球部でマネージャーとなり、就職も野球部がある企業に野球部マネージャーとしてスポーツ部署採用でした。会計とは無縁の生活を送っていたんです。
そこから税理士試験勉強と税理士試験業界での実務経験を積み、30歳で税理士試験に合格。同時に独立開業しました。当初は目の前の業務をこなすのに必死でしたが、徐々に「どうしたらお客様の成長に寄り添えるか」を意識するようになりました。
—— 税理士を目指すきっかけは、なんだったのでしょうか?
野本:まず税理士という資格自体の認識については、親族に税理士資格を保有している人が何名かいたので、それで認識していました。
税理士を目指したきっかけについては、自分の考えとしても幼いときからの両親の教えからも専門性も持った仕事につきたいということが関係しています。
大学卒業後はプロ野球のスカウトの道を目指していましたが採用までには至らず、ご縁があって野球部がある企業に野球部マネージャーとして就職しました。一般的にはあまり馴染みのない仕事かと思いますのでちょっと詳しく説明しますと、野球部にいるあいだは午前中は出社して午後は野球部の活動、そして大きい大会や試合がある際は出社せずに野球部の活動に専念するという業務内容になります。ただしずっとその生活が続くわけではなく、だいたい長くても10年間を目安に野球部を離れ社業に専念するという形になります。
大学を卒業して2年間ほど上記の仕事をしていた際にこの先もスポーツに関わる仕事をしたいという思いが芽生え、「スポーツ選手の代理人になりたい。そのためには、税理士資格を保有していたら有利になるのではないか」と考えたんです。私が税理士を目指したきっかけです。
その後、税理士事務所で経験を積むなかで多くの中小企業の社長と接するうちに、経営支援の仕事の面白さに気づきました。また、スポーツ選手の代理人業務は弁護士資格や特定の試験合格が必要で、ビジネスとしてやることは現実的ではないことも痛感しました。その頃にはスポーツ選手の代理人という思いよりも、中小企業経営者の支援をしたいという思いのほうが強くなっていました。
勤務時代は勤務時間も長くハードな環境でしたが、先輩たちも皆さん良くして頂きました。実務経験が浅いことへの不安はありましたが、勤務をしながら経験するよりも独立して経験を積んだ方が自分の力になるという思いで、税理士登録と同時に独立を選びました。
よりお客様の成長に寄り添えるコンサルティングに注力
—— 独立当初から現在に至るまでに、どのような変化がありましたか?
野本:知人の紹介で顧客が増え、2019年頃には私と入力担当者の2名体制で約80件の顧問先を抱えました。売上などを考えたら順調でしたが、業務量には限界を感じ、「これ以上、お客様に深く入り込んだサポートはできない」と危機感を持ちました。
—— 成長のピークで、むしろ「このままではいけない」という危機感を持たれたのですね。
野本: そうです。コロナ禍で一時的に業務が落ち着いたタイミングで、「よりお客様の成長に寄り添えるコンサルティング業務に注力する必要がある」と考えました。現在はクラウド会計ソフトを活用し、全国の顧問先をリモートサポートしています。
2024年からは積極的に採用を開始し、5名体制になりました。私が経営や提案に集中できるようになり、単なる税務計算に留まらないサポートができるようになっています。
「クラウド会計 × 財務コンサルティング」で切り拓く未来
—— 今後の事務所の方向性について教えてください。
野本:「2つの軸」で事務所を展開していきたいと考えています。1つはクラウド会計の徹底活用による業務効率化。もう1つは、売上3億円超くらいからさらに成長を考えている企業に対してより高度な税務・財務コンサルティングを提供することです。これを実現するため、採用は今後も年間3〜4名ずつは増やしていきたいと考えています。
—— 給与水準の向上も視野にあるとのことですが。
野本:はい。一般企業の経理職と比較して、税理士事務所の賃金水準は低い傾向にあります。優秀な人材を確保し、高度なサービスを提供するためには、業界全体の水準を引き上げていかなければならないという使命感を持っています。
「専門性」を持って独立を
—— 最後に、これから独立を目指す方や同業の先生方へのメッセージをお願いします。
野本:独立を目指す方は専門性を持つことが重要です。例えばですがクラウド特化は当たり前ですが、「クラウド×医療」「クラウド×飲食」といった形でニッチに打ち出すと集客につながります。そして必ず「時間単価」を意識してください。
同業の先生方には、組織再編など高度なノウハウを深めたい方との連携を歓迎します。知識はあるが集客に課題のある方は、ぜひお声がけください。当事務所は紹介にも強く、双方にメリットがある形で協力できます。
先生のご紹介
野本正明 [NOMOTO MASAAKI]
略歴:税理士。親族に税理士資格保有者が複数名いることで税理士という職業を知る。プロ野球のスカウトや代理人を目指し、将来の転職に役立てるため、25歳で資格取得を開始。簿記未経験から2年間勉強に専念し、5年で合格。税理士法人勤務を経て2012年独立。組織再編やグループ通算税制に対応するコンサル業務を強みとし、クラウド会計を活用して全国の顧客をリモートで支援。
所在地:東京都中央区日本橋人形町1-5-12 萬武ビルディング4階