
税理士法人Suinas【税理士/公認会計士】下村 和也
「弱みを強みに」唯一無二の価値を生む士業の挑戦
自身の障がいから「手に職を」と考え、士業の道に
—— まずは、先生のご経歴からお聞かせいただけますか?
下村:私は大学在学中に公認会計士試験に合格し、卒業後は大手監査法人に勤め、主に米国に上場している企業の監査を担当しました。その後、米国留学を経て、神戸の税理士事務所で税務を学び、東京で独立しました。現在は、耳の不自由な方や外国人の方など、コミュニケーションに課題を抱える方々への税務サポートにも力を入れています。
—— 士業を志したきっかけは、何かあったのでしょうか?
下村: 私自身、耳が不自由でして。学生の頃から「電話や会議が難しい。」と感じていました。将来の働き方を考えた時に「専門的な知識を持ち、手に職をつけたい」と思ったんです。経済や会社に興味があったため、公認会計士を目指し、大学1年生の冬から勉強を始めました。
——その後、監査法人を辞め留学されたとのことですが、なぜでしょうか?
下村: 周りの先輩方の海外経験が豊富だったので、アメリカのことを色々と聞いており、話を聞いていくうちに自分も挑戦したいと思いました。監査法人を退職して1年半ほどアメリカで学び、この経験が「一歩踏み出せば、世界は広がる」と気づかせてくれました。
「誰にでもできる仕事」から「自分らしい価値」提供へ
—— 独立後、どのような課題に直面されましたか?
下村: 最初は紹介やビジネスマッチングアプリで多くの経営者に出会い、仕事を依頼していただいていました。馬力だけで営業活動をしているうちに「どこにでもある税理士事務所では埋もれてしまう。差別化しなければならない」と強く感じるようになりました。
そこで、自身の経験を活かそうと、耳の不自由な方への相続税申告の支援、中国人の方の会社設立サポートなど、ニッチなニーズに応えることに力を入れるようになりました。手話や外国語で対応する税理士はまだ少なく、この領域でなら自分らしい価値を届けられると感じました。
—— ニッチなニーズに特化する決断は、大きな転機だったのでは?
下村: はい。一般的な税務サービスも大切ですが、それだけでは選ばれる理由になりません。むしろ、自分が弱みと思っていた部分を強みに変えてこそ、存在意義がある。そう気づいたんです。実際にお客様からは 「こんなサポートをしてくれる税理士を探していた」と言っていただくこともあります。自分の特性が、お客様の安心につながると実感できる瞬間ですね。
信頼を生むには「弱点を隠す」ではなく「前に出す」
—— 今後の展望についても教えてください。
下村: まずは耳の不自由な方や、外国人の方へのサービスを広く知っていただきたい。そのために、情報発信や体制づくりを強化していきます。いずれは、この領域で「困ったら下村に相談すれば大丈夫」と思ってもらえる存在になりたいです。弱点を隠すのではなく、前に出すことで信頼につながる。自分自身の経験を事業に重ね、唯一無二のサービスに育てていきたいと思っています。
士業になるなら、自分の個性や経験を活かそう
——最後に、読者の方々へメッセージをお願いします。
下村: 私はこれまで、何度も「できない」と思う壁にぶつかりました。でも、そのたびに一歩踏み出してきたことで、道が拓けてきた。たとえ弱みがあっても、それを強みに変える工夫をすれば、必ず誰かの役に立てるはずです。
士業は特に、自分の個性や経験を活かせる仕事です。ぜひ皆さんも、自分だけの強みを信じて挑戦してほしいですね。
先生のご紹介
下村 和也 [SHIMOMURA KAZUYA]
略歴:税理士・公認会計士。大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人で約4年半勤務後、米国に留学。帰国後、神戸の会計事務所で税務を学ぶ。その後、監査法人時代の同僚と共に東京で独立し、税理士法人を設立。現在は出身地である神戸にも拠点を設け、東京と神戸で全国の顧客をサポート。特に、聴覚に障がいを持つ方や中国語圏の顧客の支援に力を入れている。
所在地:兵庫県神戸市中央区栄町通1-2-1