佐藤 千晴

佐藤千晴税理士事務所【税理士】佐藤 千晴

波乱の事務所勤務から「パズルを解く感覚」で自分らしく働ける税理士になるまでの軌跡

適職診断と友人の言葉に後押しされて税理士の道へ

—— まず、税理士という職業をいつ頃、意識されたのかを教えていただけますか?

佐藤: 大学2年の時です。当時は勉強よりも遊びに夢中で、真面目とはほど遠い生活でした。そんな中、友人と資格学校のガイダンスに参加したのが始まりです。友人は税理士、私は消防士の説明会を聞いたのですが、なぜか互いに相手の話した職業に惹かれてしまったんです。

—— 面白い偶然ですね。では、なぜ最終的に税理士を選ばれたのでしょうか?

佐藤: 資格学校の入口にあった適性診断を受けたら「あなたに最も向いている資格は税理士」と表示されたんです。当時の私はそれを真に受けてしまって(笑)。さらに「税理士は稼げるらしい」という友人の言葉にも後押しされました。正直、純粋な動機ではなかったですが、「挑戦したことのないことに飛び込んでみよう」と思ったんです。

—— 実際に働き始めてからはいかがでしたか?

佐藤: 最初の会計事務所は1年でクビになりました。気遣いもできず、仕事も不十分で「お前は使えない」と言われて。大きな挫折でした。

その後も 東京の事務所に応募したのに、事務所トップに「君は北海道に向いている」と言われ、なぜか北海道勤務を勧められて。気づけば社員寮の家具を買わされ、そのまま働くことになったんです。約束の東京帰任もなくなり……不安を抱えていましたが、当時は「仕事をくれるならどこでもいい」と思っていました。

—— ドラマのようなドキドキする展開ですが、その後、どんな転機があったのでしょう?

佐藤: タイミングよく、最初の事務所の先輩が独立することになり「一緒にやらないか」と声をかけてもらったのが転機ですね。その先輩は「優秀じゃない人間を育てるのが楽しい」という少し変わった方で(笑)。私の不器用さを面白がって拾ってくださったのだと思います。今振り返ると、本当に縁に助けられました。

税理士の仕事は「パズルを解く」感覚

—— 先輩の事務所勤務の中、特に印象に残っていることは何でしょうか?

佐藤: ちょっと不適切な表現かもしれませんが、税理士の仕事は「パズルゲームだ」と。お客様から渡される課題を、経験を組み合わせながら解いていく。そして解けた時にお客様に「ありがとう」と言ってもらえる。

気づかせていただいた、その「パズルを解く感覚」は、今も税理士としてのやりがいになっています。

—— その後、独立されたそうですが、事務所として大切にされていることは?

佐藤: 一番はレスポンスの速さですね。独立初期に、驚くほど返信の早いお客様がいて、その方が急成長するのを見て学びました。「何でもできるわけじゃないが、速さなら誰でも努力できる」と。それ以来、徹底して意識しています。

もう一つは毎月、資料を出していただく仕組みです。会社の特性を忘れず把握できるし、いざ融資や補助金が必要になってもすぐに動けます。お客様にとってもメリットですし、私にとってもパズルを解く練習になっています。

—— 今後の事務所としての展望についても教えてください。

佐藤: 大きな組織にするつもりはありません。今のお客様としっかり向き合いながら、この仕事を75歳まで続けられたらいい。数を追うよりも、安定して長く支えることに価値を感じています。

組織に馴染めない人はぜひ独立を意識して

—— 最後に、独立を考えている読者に向けてメッセージをお願いします。

佐藤: 人には「組織で力を発揮するタイプ」と「個人で力を発揮するタイプ」がいると思います。私は組織に馴染めず、何度も失敗しました。でも、税理士は自宅開業が可能で、コストも抑えられる。お客様と繋がれば長く続きます。

だからこそ、組織に居場所を見いだせない人にとって、独立は大きな自由とやりがいをもたらす道です。自分のスタイルでお客様に感謝される。その喜びをぜひ味わってほしいですね。

先生のご紹介

佐藤 千晴 [SATO CHIHARU]
略歴:税理士。大学2年生の時、資格の学校TACの説明会で税理士という職業を知り、就職氷河期世代の危機感と「挑戦したい」「稼げる」という思いから目指し始める。会計事務所勤務を経て、税理士資格を取得し、独立。迅速な対応を強みに、顧客の抱える課題をパズルゲームのように解決し、感謝されることに大きなやりがいを感じている。クラウド会計も積極的に活用し、業務効率化を進めている。
所在地:東京都町田市南大谷3-6-28
HP:https://satouchiharu.hiho.jp/